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将棋のメモ用

玉頭位取り 自戦記(17)

今回は先手番で玉頭位取りを採用しての一局となりました。玉頭位取りで手痛い負けが込んでいて、以前と比べると採用率は下がっていたのですが木葉さんの動画に触発されて玉頭位取りにいいイメージが持てていたので採用した一局です。

ひねくれ者の将棋指しS2 #10 玉頭位取り vs 四間飛車 - YouTube

 

 

初手から

▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛
▲5六歩△6二玉▲6八玉△9四歩▲9六歩△7二銀
▲7八玉△5二金左▲2五歩△3三角▲5八金右△3二銀(図1)

図1の局面は普通に駒組みしているだけなんですが悩ましい局面で、以前は▲5七銀と右銀を5七に上がって玉頭位取りと金無双急戦の両天秤で指していたのですが最近はショーダンさんのミレニアム研究動画を見てミレニアムを志向することも増えた為、▲6八金寄とする手もあってどうしようか悩みました。

ただ、相手が△3二銀型で待機されて△4五歩とする手順の勝率が低いので今回は見送りました。

図1から

▲6八銀△7一玉▲5七銀右△8二玉▲7五△6四歩▲7七銀△4三銀▲7六銀△6三金(図2)

図1の局面から▲6八銀として穴熊やミレニアムのような堅く囲いにいく作戦は放棄して玉頭位取りか▲5七銀左急戦などの急戦策を目指しました。ここでは以前やっていたように▲5七銀とする手もあったと思いますが今回は後手が既に美濃囲いの駒組みが確定していますので振り飛車穴熊にされた時に銀冠の余地を残す必要がないので▲6八銀としました。

こちらは▲7五歩と玉頭位取りを明示しましたが後手は△6四歩と玉の方を優先されたので△4五歩から△4四銀型にされなかったので、ひとまず安心して玉頭位取りを採用出来ました。

図2から

▲8六歩△5四歩▲8五歩△1四歩▲1六歩△1二香▲7七角△3二飛(図3)

▲8六歩と角道を通したまま8筋に手をかけて左辺の充実を図りました。

やはり玉頭位取りで8筋の位取りも取れるのは結構大きいと思っているので8筋を急いでいる感じです。

後手の△1四歩や△1二香は先手の▲6六歩と角道が閉じるのを待っている意味だと思うのですが玉頭位取りは指したい手が山のようにあるので▲6六歩は保留して櫛田流の筋にされないようにしています。

ただ、△1四歩に▲1六歩と挨拶しないで左辺の充実に手を費やすべきだったかもしれません。△3二飛は先手が▲6六歩を保留しているので3筋に振り直して石田流を志向している手だと思います。

図3から

▲6六歩△4五歩▲6五歩△4四銀▲6四歩△同金 ▲6五歩打△6三金▲6七金△3五歩(図4)

 

図3で後手が3筋に飛車を転換したのを見て、▲6六歩と指しました。これは後手が石田流に組んでくる時には角筋を通して戦うのがよいと聞いたので6筋の歩交換をしながら角筋を通して戦う方針でした。

ここで後手は角道が止まった瞬間に△4五歩と角道を空けて△4四銀型を作って戦う作戦に切り換えてきたのですが玉頭位取りに対しての後手の作戦としてはチグハグな印象ですので若干得している感じがしました。

本来は後回しにすることが多い▲6七金も後手が手損しているのでこのタイミングで指せると考えて早めに上がりましたがこれは成立していたようでピヨ先生そう指していたのはなかなか盤面が良くみえていたと思います。

 

図4から

▲8八玉△4二飛▲4八飛△5五歩▲同歩 △同銀 ▲5六歩打△4四銀▲7八金△5二飛▲5八飛△4二飛▲4八飛△6二飛▲6六銀△5二飛▲5八飛(図5)

 

図4からはピヨ先生は▲8八玉としたなら、▲7八金を急いで銀立ち矢倉を完成させて2筋から強く戦う方針が優るとおっしゃっています。

対局中はそういう考えは全くせず△4四銀型で棒銀の要領で攻めてくる筋がある時の形とばかりに飛車を向かい合わせてお互いに飛車を行ったり来たりさせている局面です。

このあたりの局面の把握能力の低さが玉頭位取りを指しこなせていない原因だと思います。

また銀立ち矢倉を完成させた後の居飛車側からの手の作り方を知らないせいだと思うので知識を仕入れて自信を持って局面を誘導出来ないのが玉頭位取りを採用して高勝率をあげられない

原因だと思いますので玉頭位取りを指すなら最大の課題です。

 

図5から

△4六歩▲同歩 △4五歩打▲2四歩△同歩 ▲4五歩△同銀 ▲2八飛△5六銀▲6八金引△6七歩打▲同銀 △同銀成▲同金直△4二飛(図6)

 

図5から後手が手持ちのニ歩を活かして△4六歩△4五歩と継ぎ歩攻めをしてきて本格的な戦いがはじまりました。

開戦されたので、▲2四歩と突き捨てを一本入れたのですがこれはまあまあだったみたいです。

ただし、ここでは素直に全部対応して▲5五銀と出て金銀交換を避ける手順を指せて入れば陣形の良さを維持できたみたいですが、後手の攻めに対応を間違えて金銀交換で攻めの銀と守りの金を交換されて飛車の捌きの目処も後手はたったので局面は互角になっているみたいです。

対局中は金銀交換されて飛車の働きの差で局面を悪くしてしまったと強く感じていました。

確かに評価値的にも先手に600点近く振れていた数値も二桁〜200点代を推移しているので一時期と比べれば先手は悪くしていますが悲観しすぎだったようです。

局面はこの局面まではまだ互角でした。

おそらく、8筋7筋6筋の位取っているので金銀交換の駒損ですがバランスがまだ取れていたみたいです。

 

図6から

▲4三歩打△同飛 ▲4四歩打△同飛 ▲5七銀△4九飛成▲3三角成△同桂 ▲2四飛△5六歩打▲同銀 △6六歩打▲同金 △6九銀打▲7七金(図7)

図6の局面での形勢判断としてはすでに先手が悪いと考えていたので、とにかく勝負するにはこちらの飛車を活躍させるべく角交換をして飛車角の捌きをしなければいけないと思っていたのですが、図6からは▲6六歩と6筋の位を活かす筋がありました。

これは木葉さんの動画でも似た筋があったのですが対局中は全く見えませんでした。

相手の飛車の位置と持ち駒に銀を持っている関係でここでの▲6六歩は△同金と応じることが出来ないので大きな拠点を作ることがきますし、2筋の歩を突き捨てている効果で▲2二歩と打つ筋があって放置するなら先手が早く桂馬を手に入れることが出来ますし、歩も潤沢にあるので端攻めを絡めたりする筋も残って難解な局面ながら先手の攻めも厳しい狙いが残るのでバランスを保っていました。

本譜では4筋に歩を叩いていって飛車の位置をずらして▲5七銀から角交換を挑んでなんとか攻め合いの勝負形を作れればと思ったのですが、後手に飛車を成り込まれて存分に暴れられている7筋は900点近く後手に形勢が振れてしまって先手劣勢となってしまいました。

 

図7から

△5八龍▲8七玉△8八角打▲6七銀△6八龍▲6四歩△6二金引▲7六玉△9九角成
▲8四歩△9八馬▲8七銀打△8九馬(図8)

かなり先手は苦しいのですがなんとか中断玉で粘ってチャンスをくるのを期待して序盤に投資した位の空間に逃げ込みつつ玉頭での反撃を狙っているところですが局面は大劣勢で守りの桂香を丸々損している駒割で桂香損。

飛車角の働きの差もすでに成り込んで龍と馬を作って玉に迫っている後手に対して先手の飛車はまだ生飛車のままですし角も手持ちにはしていますが打つ機会がなく手持ちのまま眠っている状態です。また、戦力増強と桂香を手順に取るような筋があればいいのですが、桂香がうまく逃げられていてそんな上手い筋もなく戦力が足りない先手はせめて桂香くらい欲しいですが、駒の補充も効かないので依然として戦力不足のままです。先手の攻めの主張は6筋8筋でなんとか頑張っている歩と2四の遠くから四段目で残ってしまった飛車の横利きだけです。それに対して相手の美濃囲いは綺麗なまま残っていて局面はかなり悪いです。

評価値的にも1400近く後手に振れてしまって大劣勢なままです。

ただ、後手には本譜の手順中に緩手があって△8八角打と金取りに当てたところではもっと露骨に△7八角打と打ち込まれていれば先手玉は寄せ切られていました。

△8八角打は王手ではないので先手に手番が移りましたので銀を引きつけて▲6四歩が入りましたが△7八角打は王手をしながら角と龍で5六の地点で角と金銀の2枚替えで金駒を補充されてしまう筋があったみたいです。

首の皮一枚でなんとか耐えた先手陣としては苦しいながら一瞬寄せが見えにくくなったこの図8の局面で勝負しなければいけないと対局中考えていました。

 

図8から

▲8三歩成△同銀 ▲8四歩打△同銀 ▲6三歩成△同金 ▲8四飛△8三香打▲同飛成△同玉 ▲8四歩打△7二玉▲6四歩打△5三金▲5四歩打△5二金引▲6三銀打△同金 ▲8三角打△6二玉▲6三歩成△同玉 ▲5三金打(終局図)

何はともあれ、美濃囲いの頭で頑張っている8筋の歩を成捨てて形を乱すしかないと▲8三歩成から入って8筋に嫌味をつけて頭突き攻撃をしました。銀がつり上がったので飛車の横利きを活かすために6筋の歩も成捨てて△同金とさせて金銀をバラバラにすることには成功した盤面で、一応▲8四飛から銀を取りながら王手で玉頭に飛車が使う本譜の筋のために8筋6筋と攻めていったのですがそこで本譜の△8三香車と打たれて飛車を詰まされる筋がみえて銀を取るか悩んだのですが、玉頭を開拓しないことには自玉が詰まされてしまうので玉頭を開拓してまずは入玉を目指してなんとか頑張ろうと▲8四飛の筋を決行したのですが、案の定、香車を打たれて飛車を詰まされてしまいました。勢い▲同飛車と切るよりないとぶった切っていって▲8四歩としつこい頭突きをかまして△7二玉と落ちた局面はなんと先手がもり返していて後手玉は結構危ない局面に偶然なっていました。

とりあえず、金を剥がしておくつもり▲6四歩から△同金とさせてもらった香で金の田楽刺し狙いで▲6四歩と今度は金の頭を叩いた手にその筋を嫌って△5三金と金を逃げられてしまいましたがこの局面でようやく▲6三銀打の筋が決まると後手玉も結構危ないと気づいて▲6三銀の筋をより厳しくする意味で▲5四歩としつこく金の頭を叩いてみました。

これを△同金とするのは▲6三銀打が厳しいですし、6四の方を取られたら香車で金を殺しにいくつもりでした。

おそらく相手も同じ筋を読んでいて△5二金と逃げてきたのですが...
この局面になって後手玉がかなり危ない形であることに気づいて寄せを考えて少考したら寄せがみえて震えました。

本譜の▲6三銀打に△同金とさせて直ぐに取らずに▲8三角打とした手が王手で逃げると金に当たっているという絶好の手で決め手となりました。

▲8三角に△6二玉と逃げるのは即詰みがあってどうやっても詰みます。

△8二玉と逃げるのは金を取って置いて後手玉は必死で先手玉が詰まないので勝ちだったのですが、対局中は本譜の手順で詰みもしくは△5一玉と落ちても▲6一角成として同玉に頭金はみえていたのですが、実は読み抜けがあって、△5一玉と落ちて▲6一角成に△4一玉と金2枚を見捨てて逃げる筋があるのですがこれが右辺が広そうに見えてピッタリ詰んでいました。

▲6三歩成 △5一玉 ▲6一角成 △4一玉 ▲5二と △3二玉 ▲4二と △2二玉 ▲2四香打 △2三歩打 ▲同香成 △同玉▲3四金打△2二玉▲2三歩としてどこに逃げても金打までの歩以外の持ち駒を使い切っての17手詰という詰将棋みたいな筋がありました。

対局でこの筋を選ばれたら詰ませたか自信はないですが綺麗な詰み手順だと対局後感動しました。そもそも▲6一角成に金2枚見捨ててスタコラ逃亡する筋が見えにくいですし▲4二とと捨てる手は相当見えなさそうな筋で▲2四香と中途半端な位置から打つ香が見えるかは全く自信がないですがこれも読み切れていたら相当カッコ良かったですが今の自分の終盤力では勝手読みで詰みと判断してましたが終盤力を研いてこれくらいの筋もみえるようになりたいです。

 

対局直後は▲6三銀打から直ぐに金を取らずに▲8三角打が妙手順で難しい終盤戦を読みきって勝った熱戦譜だと震えてましたが、見返してみると読み抜けや形勢判断のミスなど荒さがある対局でしたが久々にいい将棋が指せたという充実感を味わえた一局でした。

 

 

 

先手:自分
後手:相手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛
▲5六歩△6二玉▲6八玉△9四歩▲9六歩△7二銀
▲7八玉△5二金左▲2五歩△3三角▲5八金右△3二銀(図1)

▲6八銀△7一玉▲5七銀右△8二玉▲7五歩△6四歩
▲7七銀△4三銀▲7六銀△6三金(図2)▲8六歩△5四歩
▲8五歩△1四歩▲1六歩△1二香▲7七角△3二飛(図3)
▲6六歩△4五歩▲6五歩△4四銀▲6四歩△同金
▲6五歩打△6三金▲6七金△3五歩(図4)▲8八玉△4二飛
▲4八飛△5五歩▲同歩 △同銀 ▲5六歩打△4四銀
▲7八金△5二飛▲5八飛△4二飛▲4八飛△6二飛
▲6六銀△5二飛▲5八飛(図5)△4六歩▲同歩 △4五歩打
▲2四歩△同歩 ▲4五歩△同銀 ▲2八飛△5六銀
▲6八金引△6七歩打▲同銀 △同銀成▲同金直△4二飛(図6)
▲4三歩打△同飛 ▲4四歩打△同飛 ▲5七銀△4九飛成
▲3三角成△同桂 ▲2四飛△5六歩打▲同銀 △6六歩打
▲同金 △6九銀打▲7七金(図7)△5八龍▲8七玉△8八角
▲6七銀△6八龍▲6四歩△6二金引▲7六玉△9九角成
▲8四歩△9八馬▲8七銀打△8九馬(図8)▲8三歩成△同銀
▲8四歩打△同銀 ▲6三歩成△同金 ▲8四飛△8三香打
▲同飛成△同玉 ▲8四歩打△7二玉▲6四歩打△5三金
▲5四歩打△5二金引▲6三銀打△同金 ▲8三角打△6二玉
▲6三歩成△同玉 ▲5三金打△投了
まで129手で先手の勝ち