△6四歩型角換わり棒銀 自戦記(18)
今回、私は後手番で戦型は角換わりとなりました。自分が先手番の時に相手に何度かされて少し調べてみたのですが上手い手順が発見出来ずなかなか有力なのではないかと思っていた△6四歩型角換わり棒銀を採用しました。
初手から
▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲7八銀△3二金▲2五歩△7七角成▲同銀 △2二銀▲4八銀△6二銀▲7八金△3三銀▲3六歩△6四歩▲3七桂△5二金▲1六歩△4二玉▲1五歩△7四歩(図1)
先手の駒組みで▲7八金が入っているので相手は▲4五桂急戦を狙っていたわけではないのかもしれませんが、△5二金と▲4五桂を警戒して備えて▲1六歩に挨拶はしないで△4二玉としたので先手は▲1五歩と1筋の位を確保してポイントをあげられてしまいました。
私としては今回は△6四歩型角換わり棒銀をするつもりでしたので△7四歩としたのが図1の局面です。
図1からは△6三銀から腰掛け銀にして△5二金型の旧型vs新型の戦いや、手損で△6二金型に組み直すような手も十分考えられる局面だと思います。
図1から
▲4六歩△7三銀▲4七銀△8四銀▲9六歩△9四歩(図2)
▲4六歩は自然な手だと思いますが、そこで△7三銀から△8四銀と棒銀にするのが私の作戦です。
▲9六歩は後手の銀の進出を拒む意味だと思います。後手は△7五歩からぶつけていく方針なのでここは△9四歩としないですぐに△7五歩とする方がよかったかもしれませんが今回は△9四歩として9筋は突き合ったのが図2です。
この作戦は△7五歩から早繰り銀のように攻めた時に▲同歩△同銀となった局面で△6四歩と突いてある効果で▲2四歩の突き捨てを△同銀と取る手があって▲5五角打が飛車取りにならないという意味です。
対局中は▲6八玉から腰掛け銀を目指された時に9筋からぶつけていくかもしれないと考えて一回受けましたが、1筋の位を取られている関係で本譜は右玉に構えられてしまったので少し緩い手だったのかもしれません。
図2から
▲5八金△7五歩▲4八玉△7六歩▲8八銀△7三銀▲2九飛△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七銀△8二飛▲8六歩打△7四銀▲7六銀△8六飛▲8七金△8二飛▲8六歩打△7五歩打▲8五銀△同銀 ▲同歩 △同飛 ▲8六銀打△8二飛▲7九飛△5四角打▲9八角打(図3)
後手としては△7五歩と仕掛けるくらいだと思いますが、前述の▲2四歩からの切り返しの筋は▲5五角の筋が厳しい筋とならないので後手の銀を捌かせるのは損とみて7筋の取り込みは甘受して▲5八金から▲4八玉と右玉に構えられました。指されてみるとなるほどという構想で、1筋の位を確保した手と連動していて先手はいい形で待機する方針で来られました。
後手としては何はともあれ△7六歩と取り込むくらいですが、ここで▲8八銀としたのが少し損だったようで後手が指しやすい局面になったようです。
7筋の取り込みは甘受して右玉を完成させて棒銀を捌かせない▲8八銀は構想としては一貫していると思うのですが、このやりとりは後手が少し得しているというのがピヨ将棋の見解のようです。
後手の私としては8筋の歩も交換して銀を立て直す方針で本譜は進めましたが、これは後手としてはあまり褒められた構想ではなかったようで、△6四歩型のため、▲7二角打という筋から馬を作られる手があってそう指されていればかなり難解な局面だったようです。
ただ、今回先手はその筋ではなく大人しい手を選んでいただけたので銀も捌けて、△5四角と金取りに角打った局面は後手が優勢となりました。
図3から
△8八歩打▲7五飛△7三歩打▲8五飛△8四銀打▲5五飛△8九歩成▲7七金△9八角成▲同香 △4四角打▲5六歩△8五歩打▲9七銀△5四歩▲4五歩△5五歩▲4四歩△同銀 ▲7八金(図4)
図3から△8八歩と重たく攻めましたがここは△8七角成から角を切って2枚替えの筋の方が良かったようです。
先手は角と金銀の2枚替えで駒損で尚且つ歩切れが痛くて収拾困難だったようです。
対局中は玉型の差があるので駒得でも角を渡すのを怖がって筋悪く攻めてしまいましたが、ここはしっかり読み入れて踏み込むべきところでした。
ただし、本譜でもまだ後手がかなり優勢な局面で図4は飛車桂と角の交換で駒得でと金も出来ていて後手優勢を維持しています。
図4から
△2八飛打▲3八角打△2六桂打▲1七角打(図5)
対局中、図4の局面は優勢だと思っていましたが、△2八飛打と王手で迫ったのですがこれは安直でした。次の▲3八角打が好手でこれが全然見えていませんでした。飛車の行き場所がないので、△2六桂打と角にアタックしましたが、次の▲1七角打がまたいい手で打ち込んだ飛車が詰まされてしまいました。
ここの数手は後手が損な取引をしてしまいました。本譜に代えて△2九飛打と迫っていれば飛車を詰まされることはなくこう迫るべきでした。
図5から
△3八桂成▲同銀 △同飛成▲同玉 △7四歩▲7一飛打△7三銀▲4四角△同歩 ▲4一銀打△4三銀打▲3二銀成△同銀 ▲7二金打△8四飛▲7三金△同桂 ▲同飛成△8一飛▲5四桂打△3一玉▲7二龍(図6)
飛車が詰まされてしまったので、3八で精算して△7四歩としましたがこれが疑問手でした。
代えて△3五歩と攻め合いをピヨ将棋は推奨しています。対局中はうっかりで飛車を取られてしまいましたが、駒割は銀桂交換で駒得なのでまだ後手がいいはずと思っていましたので働きの悪い8四銀や8一桂の活用をする意味で△7四歩として盤上の駒を活用していく意味でしたが既に局面の急所ではなかったようでこんなところに手を入れるべきではなく、△3五歩と桂頭の弱点を攻める手がよかったようです。言われてみればここを突いておくことで先手の1七角の角筋を遮断する意味もありますし、相手の玉頭を攻めているのでここが急所だったようです。本譜は▲7一飛打と飛車を打ち込まれて混戦模様です。次の△7三銀も疑問手で▲2一飛成が厳しい攻めだったようです。
このあたりはお互いに疑問手や悪手が目立って急所にお互い手が付けれていないようでした。
時間もお互い迫ってきているのもあるので仕方がないところなのかもしれません。
そして問題の局面が図6の最終手▲7二龍のところです。
これは飛車金両取りになっていて部分的に相当きびい手でかなり悪くしてしまったと対局中は思っていまして、本譜は飛車が逃げながら金に紐を付ける△5一飛のこの一手だと思い対して考慮せず指したのですがここではいい手があって、△6三角打が金に紐を付けながら龍取りになって関節的に8一の飛車に紐を付ける盤上この一手のような素晴らしい手がありました。
対局後ピヨ先生が教えてくれたのですがすごくいい手です。こういう冷静な手が指せるか指せないか見えるか見えないかというのが強い人と自分との差なんだと思います。
図6から
△5一飛▲4二銀打△2二玉▲5一銀成△同金 ▲7一飛打△8四角打▲5一飛成△同角 ▲4二桂成(図7)
△5一飛に▲4二銀打と迫られた局面はもうほとんど互角の局面になってしまっています。仕方がないので△2二玉と逃げるよりありませんが▲5一銀成と飛車を取られてしまいました。
▲7一飛打と打ち込んできましたがこれは疑問手だったようで△8四角と金に紐をつけながら攻防風に角を打てて少し後手が指しやすい局面に戻ったようです。
代えて▲4三歩と垂らされる手なら難解な局面だったようです。
△8四角打に勢い▲5一飛成で金をむしり取って△同角に▲4二桂成に先手は期待したようですがこの手が敗着だったようで悪手です。
図7から
△同角 ▲同龍 △4六桂打▲4七玉△3八角打
▲4六玉△5六角成(終局図)まで
図7の局面は後手が一番欲しい駒が桂馬なので△同角と桂を拾って▲同龍に△4六桂打が厳しい手となって以下寄せ切ることが出来ました。
◉本局を振り返って◉
今回の将棋は△6四歩型角換わり棒銀を採用して勝利できたのはよかった。
戦法としてはなかなか優秀に感じているのでまた是非とも採用したいと思います。
途中局面の急所を逃して混戦になってしまいましたので反省したいと思います。
手合割:平手
先手:相手
後手:自分
▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩
▲7八銀△3二金▲2五歩△7七角成▲同銀 △2二銀
▲4八銀△6二銀▲7八金△3三銀▲3六歩△6四歩
▲3七桂△5二金▲1六歩△4二玉▲1五歩△7四歩(図1)
▲4六歩△7三銀▲4七銀△8四銀▲9六歩△9四歩(図2)
▲5八金△7五歩▲4八玉△7六歩▲8八銀△7三銀
▲2九飛△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七銀△8二飛
▲8六歩打△7四銀▲7六銀△8六飛▲8七金△8二飛
▲8六歩打△7五歩打▲8五銀△同銀 ▲同歩 △同飛
▲8六銀打△8二飛▲7九飛△5四角打▲9八角打(図3)
△8八歩打▲7五飛△7三歩打▲8五飛△8四銀打▲5五飛△8九歩成
▲7七金△9八角成▲同香 △4四角打▲5六歩△8五歩打
▲9七銀△5四歩▲4五歩△5五歩▲4四歩△同銀
▲7八金(図4)
△2八飛打▲3八角打△2六桂打▲1七角打(図5)△3八桂成
▲同銀 △同飛成▲同玉 △7四歩▲7一飛打△7三銀
▲4四角△同歩 ▲4一銀打△4三銀打▲3二銀成△同銀
▲7二金打△8四飛▲7三金△同桂 ▲同飛成△8一飛
▲5四桂打△3一玉▲7二龍(図6)△5一飛▲4二銀打△2二玉
▲5一銀成△同金 ▲7一飛打△8四角打▲5一飛成△同角
▲4二桂成(図7)△同角 ▲同龍 △4六桂打▲4七玉△3八角打
▲4六玉△5六角成まで