△6四歩型角換わり棒銀 自戦記(45)
今回は将棋ウォーズで10分切れ負けでの一局。
私が後手番で相手が先手番でした。
相手の得意戦法は相掛かりということで初手▲2六歩とされましたが、私は相掛かりは勉強不足でとても指せないので個人的後手番エース戦法になっている△6四歩型角換わり棒銀を目指しました。
初手から
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△8四歩▲3三角成△同銀 ▲8八銀△3二金▲7八金△6二銀▲4六歩△8五歩▲7七銀△6四歩▲4七銀△7四歩▲3六歩△4二玉▲3七桂△9四歩▲9六歩△5二金▲1六歩△7三銀(図1)
この作戦は何度かブログでも紹介しているのですが後手の駒組みがわかりやすくて気に入っています。序盤の方針は△6四歩と突いて腰掛け銀の駒組みを偽装して待機しておいて先手が腰掛け銀を目指す▲4六歩や▲4七銀という手を指すのを確認できたら△7三銀〜△8四銀と棒銀にシフトして△7五歩から攻めていくというだけなので非常にわかりやすいです。
△6四歩を突くことで先手が早繰り銀にしてきた場合は後手は腰掛け銀で対応できるので先手の駒組みを見てから形を決めることができるのがこの作戦のポイントです。
ただし、通常の棒銀や早繰り銀では突くことがない△6四歩を入れているので6三の地点に空間が出来てしまうので△5二金と6三の地点を守る必要があって金を5二に上がる都合上先手から7一角と打ち込んで飛車取りと5三の地点を狙われる筋があるので△4二玉で5三の地点を守っておく必要があると考えています。
ぴよ将棋は△3一玉と深く囲う手をいつも推奨してきますが玉を深く囲うのは5三が薄すぎて潰れてしまうと思っています。
というわけで、5二金4二玉型で攻めていくのが現在のところいいのではないかと考えています。
図1から
▲6六歩△8四銀▲1五歩△7五歩(図2)
▲6六歩は△7五歩と仕掛けられた際に備えた意味で△7六歩と取り込まれた時に▲同銀とした後▲6七銀と引けるようにしています。
後手は7三銀と上がったからには銀を使って攻めていかなければ何をしているのかわからないので△8四銀と棒銀の形を作りました。
▲1五歩と1筋の端の位を取ったことを主張してきたのですが、△6四歩型角換わり棒銀では玉が5三の地点を守る必要があるのでなかなか3一玉から2二玉と深く囲うような展開にならないことが多いので△1四歩はできれば省略して攻めたいのですが▲4五桂とされて2筋の歩交換をされた後に▲1五角や▲1五桂のような手が先手からの厳しい攻めとなることがあるのですが▲1五歩としてくれるとそういった手もなくなるのでありがたいと感じていました。
後手は自陣を整備するような手はないので△7五歩と当初の狙い通り仕掛けたのが図2です。
先手は1筋に1六歩1五歩と2手費やしていてその2手分手が遅れているので△7五歩と仕掛けた局面では自信があったのですが評価値的には互角の形勢でしたので少し楽観していたようです。本譜はそういった展開にはならなかったのですが先手は右玉に構えると後手の攻めている筋から玉を避難させることができますし、1筋に費やした手も活きてくるのでまずまずだったようです。
図2から
▲同歩 △同銀 ▲7六歩打△8六歩▲同歩 △同銀 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8二飛(図3)
△7五歩に▲同歩と応じてくれたのでスムーズに後手の銀が五段目に進出できました。先手としては▲6六歩と指したなら△7六歩と後手に7筋の歩を取り込まれても▲6七銀と引ける形なので△7五歩に▲同歩と応じたのがよくなかったかもしれません。▲同歩と応じたところで評価値は後手に300点ほど振れるので後手が指しやすくなったと思います。
また△同銀とした手に▲7六歩打と7筋に歩を打ってもらえたのも後手としては大変ありがたい手で▲7二歩打という先手の反撃がなかなか嫌な筋としてあるのですが先手が7六に歩を打ってくれるとその筋を警戒しなくてもよくなるのでこのあたりのやりとりは後手としてはありがたい展開です。△8六歩と棒銀の手筋の合わせの歩から銀交換が成功した図3は後手有利です。図3は△6四歩型角換わり棒銀の理想的展開で後手は攻めの銀が先手の守りの銀と交換できて捌けていますし通常の棒銀と比べて7筋の歩まで捌けていて全く不満はありません。
しかも後手だけ2歩手持ちにしているのが大きいと思います。
図3から
▲5六銀△9五歩▲同歩 △9七歩打▲8六角打(図4)
銀交換が成功した形では端から手を作っていくのが棒銀の攻め筋として有名ですが2歩持っているので通常の形より強力な攻めとなります。
△9七歩と垂れ歩に▲同香には△9八銀、△同桂には▲9六歩がありますので△8六角打と受けてきたのが図4の局面です。
図4の局面は後手が300点以上の評価値で後手有利ですが△8六角はいい受けで6四角と飛び出して飛車取りにする手などもみせていますし後手から9五香と走る手を防いでいるのも大きく全く手が見えなくなってしまいました。
△6三金はぴよ将棋の推奨手ですし対局中も一瞬考えはしたのですが金が玉から離れてしまうこととしつこく6四歩を狙われる展開になった時に自信が持てなかったです。
また△9八銀打と強引に攻める手は角換わり棒銀で端を攻めた時にたまに見る手なのですが今回は飛車の利きが角に遮断されていて8七に直接利いていないので交換が薄いですし後手は銀を手放してしまうと先手に6四角と出られた時に7三銀打と弾いて受けることが出来ないので銀も手放しづらいです。
8六に打った角は質駒ですのでバッサリ8六飛と切って攻める手も考えてみたのですが角をもらっても後手から有効な手が無さそうですし後手陣は飛車に弱い形なので飛車を手放すのもイマイチに感じてどうしたらいいかわからなくなってしまい棋神先生を呼び出してしまいました。
図4から
△3五歩▲4五桂△3七角打▲4八飛△4四銀▲6四角△7三銀打▲8六角△1九角成▲7七桂(図5)
1歩手持ちにしているので△3五歩と桂頭の弱点を狙う手は言われてみれば納得なのですが普段△6四歩型角換わり棒銀を使う時に先手から3五歩と突き捨てて4五桂と跳ねて攻めらる筋があってこちらから3筋で戦いを起こすのが盲点となっていました。今回の形の場合は先手の居玉が祟っていて本譜でもその進行になったのですが4五桂と跳ねてしまうと3七角打と王手飛車があるので成立していそうです。
図5は棋神先生が指してくれて香得で馬を作った後手がはっきり優勢です。
ただ先手の▲7七桂は使えていない盤上の桂を活用する手ですし次に6五桂とピョンピョン跳ねて銀取りにする手を狙っていてなかなかの迫力です。
図5から
△6一香打▲6五桂△6四銀▲5五銀打(図6)
△6一香打は▲6五桂に備えた意味だったのですが悪手と言われてしまいました。代えて△3六歩と取り込むのがいいと言っていますが正直難しくてわかりません。対局中はとにかく5三の地点を総攻撃されるのは気持ちが悪いので得した香車を投入しても問題ないという判断でした。先手は大人しくしていては段々悪くなっていってしまうのでガンガン攻めてきましたが▲5五銀打はゴツい手でぴよ将棋の評判はあまり良くない手なのですが迫力満載です。
後手陣は決して堅い陣形ではありませんので局面は優勢なのですが怖いところです。
図6から
△8六飛▲同歩 △5五銀右▲8二飛打△6五香
▲同歩 △5六銀▲同歩 △5七銀打(図7)
△8六飛と飛車をぶった切っていく手を選択したのですが後手陣は飛車を渡すのは怖い形なのでここでは飛車切りという激しい手でいかないでもう少し落ち着いた手で十分だったようです。
ただ、対局中は5三の地点を総攻撃されて潰れてしまうのを警戒して遠くから5三の地点に睨みを効かしている角を盤上から消しておく価値が高いと思い決行しました。
以下の手順もとにかく5三の地点をケアする意味でどんどん駒を捌いていって△5七銀打と飛車取りにしつつ玉頭に銀の重石を置いたのが自慢の手で局面ははっきりしたと思います。
図7から
▲3四香打△3三桂▲8一飛成△5一銀打▲6四桂打△6二金▲9一龍△3七馬(図8)
▲3四香打から攻め合いを目指してきましたが丁寧に受けて△3七馬と1九の馬を活用したのが図8です。
ここまでの手順では早く飛車を取って攻め合ってよかったといっていますが局面自体は後手が残しています。
図8から
▲6三香打△6六桂打▲6九玉△4八馬▲同金 △7八桂成▲同玉 △6九角打▲投了
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△8四歩▲3三角成△同銀 ▲8八銀△3二金▲7八金△6二銀▲4六歩△8五歩▲7七銀△6四歩▲4七銀△7四歩▲3六歩△4二玉▲3七桂△9四歩▲9六歩△5二金▲1六歩△7三銀(図1)
▲6六歩△8四銀▲1五歩△7五歩(図2)
▲同歩 △同銀 ▲7六歩打△8六歩▲同歩 △同銀 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8二飛(図3)
▲5六銀△9五歩▲同歩 △9七歩打▲8六角打(図4)
△3五歩▲4五桂△3七角打▲4八飛△4四銀▲6四角△7三銀打▲8六角△1九角成▲7七桂(図5)
△6一香打▲6五桂△6四銀▲5五銀打(図6)
△8六飛▲同歩 △5五銀右▲8二飛打△6五香
▲同歩 △5六銀▲同歩 △5七銀打(図7)
▲3四香打△3三桂▲8一飛成△5一銀打▲6四桂打△6二金▲9一龍△3七馬(図8)
▲6三香打△6六桂打▲6九玉△4八馬▲同金 △7八桂成▲同玉 △6九角打▲投了
まで86手で後手の勝ち