厚み重視ブログ

将棋のメモ用

玉頭位取りvs三間飛車 自戦記(38)

本局は私が先手番で後手は三間飛車に振ってきましたので、玉頭位取りを採用しました。

 

初手から

▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二飛▲2五歩△3三角▲6八玉△4二銀▲7八玉△6二玉▲5六歩△9四歩▲9六歩△5二金左▲6八銀△7二銀▲5八金右△7一玉▲5七銀右△8二玉▲7五歩△6四歩▲7七銀△6三金▲7六銀△8四歩▲8六歩△8三銀▲6六歩(図1)

こちらの玉頭位取りに対して4二銀型三間飛車で銀冠の構築を急いでくるのが後手の作戦でした。銀の態度を保留しておくことでこちらの陣形をみて4三銀とするか5三銀とするか選びたいということだと思うのですが、4二銀が飛車の横利きを塞いでいるので△7二飛から7筋を反発してくるような指し方はできないので図1では▲6六歩と指しました。玉頭から反発してくる筋がある場合は▲6六銀と出る余地を残しておく必要があるので▲6六歩は指し辛い意味があるのですが今回はその筋を警戒しなくていいというのは先手としては嬉しいところです。

図1から△7二金▲6五歩△同歩 ▲同銀 △6四歩打▲7六銀△4三銀▲6七金△5四銀(図2)

後手は△4三銀から△5四銀と使ってくる順を選択されました。△5四銀型は形のいい陣形を作られてしまっているのですが石田流に組みにくいというデメリットもありますし、後手から動くいてくる手が難しいので陣形がまだ不安定な先手としては悪くない序盤です。ただし図2の局面自体は駒の損得もありませんので形勢は互角で玉頭位取り側としてはまだまだ気が抜けないところです。

図2から▲7七角△1二香▲8八玉△6五銀▲8七銀△5四銀▲7六銀△4二飛▲7八金△6五銀▲8七銀△5四銀▲5五歩△4三銀▲7六銀△4五歩▲5四歩(図3)

後手から動くことができないなら陣形を万全の状態にしてから動けばいいので▲7七角〜▲8八玉と玉を固めて銀立ち矢倉を完成させるのを急ぎました。局面が飽和状態の後手は先手の陣形整備が整う前に動きたいと△6五銀とぶつけてみるですが▲8七銀とかわして戦わない指し方をされると二の矢がないので引き返すしかなく先手も無事に銀立ち矢倉を組み上げて▲5四歩と仕掛けていったのが図3です。▲5四歩は△4五歩と後手が角道を開けてきたタイミングなので角交換をしてしまえば2筋の突破が目指せるので先手がよくなるだろうということと、次に後手に△4四銀と銀を立て直されてしまうと5五歩が狙われてしまう駒になってしまうので△5四同歩と応じにくいこのタイミングで事前に5五歩を捌いた意味だったのですが▲5四歩にも△4四銀と立て直して角交換を避ける手があったみたいでそうなればかなり難しい将棋だったようです。また先手の右桂は▲3六歩と突いていない形では使うことができないのでここでは▲5四歩に代えて▲3六歩と遊んでいる桂馬の活用を目指す手も有力だったようです。右桂が攻めに参加できる形が作れるならそれに越したことはないのですが▲3六歩自体は飛車のコビンを開ける手になりますし▲3七桂は桂頭という弱点も出来てしまうのでなかなか難しいところですが強い人の将棋は全部の駒が効率よく働いていくのでそういった手もさせるようにならなければいけないと感じました。

図3から△同銀 ▲3三角成△同桂 ▲2四歩△同歩 ▲同飛 △6五銀▲8七銀△4六歩▲同銀 △4五桂▲3三角打(図4)

▲5四歩に△5四同銀と応じられたので▲3三角成から2筋の突破を狙い通り敢行しました。後手としても一方的に2筋の突破を許してしまっては苦しいと△6五銀と再度の銀ぶつけで激しい戦いを望んできますが▲8七銀とやはり銀は引きつけておけば問題ありません。△4六歩の突き捨ては手筋で▲同歩と応じてしまうと△4五桂が銀取りで3三の地点に角を打たれると王手飛車を食らってしまうので▲2一飛成とするしかないですがそこで△5三桂成と銀桂交換になってしまいます。なので△4六歩の突き捨てには銀が離れてしまうのですが▲同銀と応じてその筋からの攻めを消しておきました。後手としてはやはり3三角を狙いたいとそれでも△4五桂と跳ねてきましたが事前に銀が逃げている効果でここで先手の手番になっているのが大きくて敵の打ちたいところに打ての格言通り▲3三角と先着するのが好手順です。対抗形の将棋でよくある形なのですがこの将棋でもこの角のラインが急所でここに角を先着出来て先手優勢がハッキリしました。

図4から△4三飛▲1一角成△5八角打▲6六歩打△5四銀▲2一馬△4七角成▲4三馬△同銀 ▲4五銀△4六馬(図5)

△4三飛と3三角に当てながら飛車を逃げられると角をこちらも逃げなくてはいけないのですが、自玉のコビンが空いているので玉のコビンから角のラインを逸らすわけにはいかないので▲1一角成とするか▲7七角成とするかの2択だったのですが▲6六歩打として6五銀を追い返した時に▲7七角成では馬を攻めに使うことができなくなってしまうので▲1一角成を選んだのですがここでは▲7七角成が優ったようで自陣に馬を引きつける得の方が大きかったようです。△5八角打は上手い勝負の仕方で△4七角成が受けにくく4七に馬ができるとそれがさらに銀取りに当たってくるので先手もゆっくりしてられない局面となっています。一回は狙いだった▲6六歩を入れて本譜は△5四銀と引いてくれたので一発利かすことができた格好となりましたが構わずに△4七角成と勝負してくる手順があったみたいでそうやって勝負されると▲6五歩とはしづらいので▲4五銀と桂馬を食いちぎるくらいになりそうですが後手の飛車も活躍してくる展開になりそうで難解な将棋となっていたようです。結論▲6六歩が先手にならないなら馬はやはり1一に作るより7七に作っておく方が働きがよかったということみたいです。▲2一馬は飛車取りに当てた手なのですがこれが疑問手でよくなかったです。ここでは▲2一飛成と早く飛車を成り込んでおく方がよかったです。本譜は▲4三馬と飛車を取った手に△同銀としてくれたのでよかったですが構わずに△4六馬と銀を取られると銀を取った手が飛車当たりになっていてダメだったみたいです。本譜は△同銀と先に馬を取ってもらえたので▲4五銀と桂馬を取りながら銀が逃げることができて桂馬得になったので先手がよくなりました。△4六馬は飛車銀両取りなのですが後手の銀も浮いているのでぴったりの受けがありました。

図5から▲2三飛成△5二銀▲1二龍△6一銀▲4一飛打△6二銀(図6)

▲2三飛成が4三の銀が浮き駒になっていることを突いた切り返しで△5二銀と逃げられたのですが1二香を取りながら再度銀取りに当てて△6一銀とさらに逃げますが▲4一飛が6五銀に紐を付けながら6一銀取りになっていてゼロ手でこの飛車を相手陣に打ち込めた形でハッキリ先手優勢となりました。図6から本譜は▲4四銀と銀を単に逃してしまったのですがここではめちゃくちゃいい手順があって、▲2一龍と2枚飛車で8一の地点を睨む手は流石に厳しいので△7一銀と固めて受けるくらいなのですが、▲5四銀と4一飛の縦の利きを活かして馬取りにする手がありました。流石に馬を逃げるくらいしか後手はしょうがないと思いますが、6三銀成と金を取ってしまえばハッキリ先手勝勢でした。▲4四銀を着手した瞬間に▲5四銀の筋が見えただけにこの手順を逃してしまったのは非常に残念でした。

図6から

▲4四銀△6五歩▲同歩 △8五歩▲同歩 △8六歩打▲同銀 △6六歩打▲同金 △6九角打▲2一龍△7一銀▲7六桂打(図7)

桂香損の後手は苦しいとみて6筋8筋の歩を突き捨てて玉頭戦を仕掛けてきました。先手としても横から攻め切るのは容易ではないのですし、銀冠の堅陣ですから玉頭戦は望むところと思って自然に面倒みていたのですが、△6九角と引っ掛けておく手はいい手で先手の金銀は相手の歩の手裏剣でバラバラにされてしまったのでなかなかに厳しい手でした。一瞬相手玉は堅いのでここさえ凌いでしまえば勝ちが見えてくる局面だと思っていたのですがこちらは桂香をもらっている局面ですし桂香を使って相手陣を攻略できる筋はないかと考えた結果▲7六桂打と▲8七香打と悩んだ結果▲7六桂打を選びました。これは次に▲8四歩と突く手を厳しくした意味で部分的にはめちゃくちゃ厳しい手です。▲8七香は銀の影になっているのでイマイチという判断だったのですがここでは▲8七香打が優りました。

図7から△8七歩打▲同玉(図8)

△8七歩の叩きが後手がずっと狙っていた手で痺れてしまいました。▲同金は△7九馬から金を取られてしまうので▲同玉と応じたのですがこれが大悪手でした。△8七歩に対しての最善は▲7七玉とかわしておく手でそれなら後手の攻めは細いので先手優勢でした。また、▲同金と応じる手でも金銀は取られてしまうのですが▲6八玉から右側に逃げ出していけば広いので先手玉は捕まることがなく優勢でした。ここで1番やってはいけないのが本譜の▲同玉でこれは後手有力になっています。というのも△6八馬と入る手が先手玉詰めろになっていてこれを受ける為には7一龍と龍を切って銀を入手するくらいしかないのですがさらに△7九飛打とされるのがまた詰めろでそれを受ける為に▲7一龍と龍をまた切って金を入手するくらいしかなく厳しい将棋になっていました。

図8から

△7九馬▲2八龍△7八角成▲同龍 △同馬 ▲同玉 △2八飛打▲6八香打△2九飛成(図9)

△7九馬も△6八馬と似た意味で次に△7八角成からの詰めろなのですがこれには▲2八龍と龍を自陣に引きつけて受ける手がありました。△6八馬だと▲2八龍としても△7八角成として詰んでしまいます。△7九馬と△6八馬では大きく違ったようです。後手は仕方がないので7八で精算して△2八飛打から王手を続けますが▲6八香打と合い駒をしておけば先手玉は寄りません。△2九飛成と桂馬を補充して先手に下駄を預けたのが図9です。

図9から▲8四歩△9二銀▲1八角打△7九金打▲6七玉△1九龍▲6三角成△同金 ▲8三金打△同銀 ▲同歩成△同玉 ▲8四歩打△9三玉▲7一飛成△4五角打▲5六歩打△投了

先手玉が詰まない形になったので▲8四歩から攻めていって勝つことができました。中盤が非常に難しい将棋で▲5四銀という好手を逃したり終盤8七歩打から事件が起こりそうになったりと忙しい将棋でしたが最後は自玉に詰みがないことを読み切れて勝てたのはよかったと思います。

 



▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二飛▲2五歩△3三角▲6八玉△4二銀▲7八玉△6二玉▲5六歩△9四歩▲9六歩△5二金左▲6八銀△7二銀▲5八金右△7一玉▲5七銀右△8二玉▲7五歩△6四歩▲7七銀△6三金▲7六銀△8四歩▲8六歩△8三銀▲6六歩(図1)

△7二金▲6五歩△同歩 ▲同銀 △6四歩打▲7六銀△4三銀▲6七金△5四銀(図2)

▲7七角△1二香▲8八玉△6五銀▲8七銀△5四銀▲7六銀△4二飛▲7八金△6五銀▲8七銀△5四銀▲5五歩△4三銀▲7六銀△4五歩▲5四歩(図3)

△同銀 ▲3三角成△同桂 ▲2四歩△同歩 ▲同飛 △6五銀▲8七銀△4六歩▲同銀 △4五桂▲3三角打(図4)

△4三飛▲1一角成△5八角打▲6六歩打△5四銀▲2一馬△4七角成▲4三馬△同銀 ▲4五銀△4六馬(図5)

▲2三飛成△5二銀▲1二龍△6一銀▲4一飛打△6二銀(図6)

▲4四銀△6五歩▲同歩 △8五歩▲同歩 △8六歩打▲同銀 △6六歩打▲同金 △6九角打▲2一龍△7一銀▲7六桂打(図7)

△8七歩打▲同玉(図8)

△7九馬▲2八龍△7八角成▲同龍 △同馬 ▲同玉 △2八飛打▲6八香打△2九飛成(図9)

▲8四歩△9二銀▲1八角打△7九金打
▲6七玉△1九龍▲6三角成△同金 ▲8三金打△同銀 ▲同歩成△同玉 ▲8四歩打△9三玉▲7一飛成△4五角打▲5六歩打△投了
まで127手で先手の勝ち