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将棋のメモ用

△6四歩型角換わり棒銀 自戦記(47)

ウォーズでの10切れ

私が後手番で△6四歩型角換わり棒銀を採用した一局となりました。気に入っている形ですし思い入れもある戦型なのですが最近勝率も思わしくないので今後も採用するか悩んでいる形ではあります。

初手から

▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△8四歩▲3三角成△同銀 ▲8八銀△3二金▲7七銀△6二銀▲7八金△6四歩▲6八玉△7四歩▲4六歩△9四歩▲9六歩△4二玉▲3六歩△5二金▲1六歩△1四歩(図1)

図1までの駒組みで以前までは1筋の端歩は受けないで進めて攻めを急ぐ順を指していたのですが先手が▲1五歩と端に手をかけてくれるなら後手としても面白いと思っているのですが▲1五歩と指してくれない場合は将来▲1五角打とされる手があってなかなかに厄介なので今回はそれを消す意味で端を受けておきました。

 

図1から

▲3七桂△8五歩▲4七銀△7三銀▲2九飛△8四銀▲4八金△7五歩(図2)

図2まで進めば△7五歩と仕掛けるのがいつもの形です。こう進んだ時に△1四歩を入れていなければ▲2九飛か▲4八金が入っていない形なので先手の飛車の横利きが8九の桂馬に紐を付けているのでやはり後手としては先程の局面で1筋を受けた一手が緩い可能性はあるところです。

 

図2から

▲同歩 △同銀 ▲7六歩打△8六歩▲同歩 △同銀 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8二飛▲5六銀(図3)

△7五歩に対して▲同歩と応じる形でしたが、ここでは▲6六歩とするような手もあるところです。本局はぶつかった歩を取る自然な進行なのですが後手としても銀が捌ける展開なので対局中はありがたい進行になったと思っていました。△同銀としてこちらも自然に棒銀を捌きにいく手に対して▲7六歩と7筋に歩を打ってもらえて銀が捌ければ少し面白い局面だと対局中は感じていたのですが形勢的には全くの五分だったようです。

図3の局面で本局は△9五歩と端から動いていく手順を選んだのですが先手の2九飛が間に合っているので少し無理な仕掛けだったようです。代えて△3九玉が候補手となっています。ただ、ここで後手の仕掛けがダメならこの作戦を採用する意味がないような気がしています。

 

図3から

△9五歩▲同歩 △9七歩打▲同香 △9六歩打▲同香 △8五銀打▲4五桂△4四銀(図4)

後手としては7筋8筋で2歩手持ちにしているのを活かしてその2歩を攻めに使っていく方針で△9五歩から攻めたてました。通常の形より1歩多いのでなかなかうるさい攻めだと思うのですが少し無理だとぴよ先生はおっしゃっています。形勢的には先手に300点程振れていますので先手有利という見解のようです。

後手としては△9五歩と突っ掛けたからには攻め続けるところで△9七歩と垂らすのが手筋の攻めです。▲同香と香車を吊り上げて先手の形を乱すのが習いある手でこの時にまだ1歩手持ちにしているので再度△9六歩と香車の頭に歩を叩いて▲同香に△8五銀打と香取りに銀を打った手が厳しいでしょうというのが読みでした。ここで先手がどう指してくるかというところだったのですが、受けていてもキリがないと▲4五桂の攻め合いを選んできました。

先手が攻めてくるなら▲4五桂はこの戦型ではよくある攻め筋なのですが単に▲4五桂と跳ねる手と一本▲3五歩と突いてから▲4五桂という手もあってどちらでこられても後手としては嫌なところです。今回の場合は既に左辺でポイントを上げられているということで急いで攻める必要があるので単に▲4五桂なのだと思います。単に▲4五桂の筋では本譜の通り△4四銀と桂先の銀でかわしておくのが自然な応手です。△4四銀に代えて△2二銀と引いて△4四歩と歩で桂馬を狙うのはある手なのですが△6四歩型角換わり棒銀では腰掛け銀に比べると中央が手薄いためなかなか成立しません。ほとんどの場合△4四銀と桂先の銀で形よく受けておく方がいいことが多いです。

図4から

▲3五歩△9六銀▲8八銀打△3五銀(図5)

▲3五歩は少し違和感のある手でここで突くなら▲4五桂と跳ねる前に突き捨てておくべきだと思います。▲3五歩を△同歩と取るのは面白くないので△9六銀と香車を取って攻めました。次に△8七銀成と8筋突破狙っていますので▲8八銀打と8七の地点を受けてきたのですがここに銀を投入してくれるならありがたいと△3五銀として歩を払って手を戻したのですが、ここでは△8三香打として8七を数の攻めで狙うべきだったようです。

 

図5から

▲3三歩打△2二金▲2四歩△同銀 ▲5五角打△8四飛(図6)

3筋の歩を払ったので先手から▲3三歩と打たれてこれは部分的には厳しい攻めなのですが先手が▲8八銀と銀を手放しているので△2二金とかわして際どく受かっています。ここで先手の持ち駒に銀があると▲3二銀という追撃があって▲3一角打の王手金取りを狙う攻めがあるのですが持ち駒が角だけなので△2二金という手でかわした後、後続の攻めが難しいです。

壁金の形で後手もいい形ではないのですが△6四歩型角換わり棒銀は玉が左辺に逃げ出す展開が多いので壁形もそこまで悪形ではないと思っています。

▲2四歩と2筋の歩を突き捨ててきましたが△同銀として▲5五角打に△8四飛車で受けたのが図6です。▲2四歩には△同歩と応じる展開もあったようです。▲5五角には△6三金と金が上がって受ける方が優ったようで△8四飛だと▲6六角と一回飛車取りに角を引く展開の時に少し後手の形が悪いというのがぴよ将棋の見解です。

図6から

▲3二歩成△同玉 ▲2四飛△同歩 ▲4一銀打△同玉 ▲2二角成△2八飛打(図7)

▲3二歩成〜▲2四飛と飛車を切って攻めるのが先手が狙っていた攻め筋で△同歩に▲4一銀が勝負手で若干無理気味な攻めなのですが△同玉とさせて▲2二角成と捌けば後手の駒得ですが後手玉も守り駒が剥がされてしまって薄い形ですから危ない形です。

しかし、飛車をもらって手番ですから後手チャンスの局面なのですが△2八飛と打ったのが悪手で難しくしてしまいました。ここでは駒得で手番をもらっているので攻めるというのは正しい判断だったのですが後の展開の読みを入れないで手拍子で金取りに飛車を下ろしてしまったのですがしっかり読みを入れるべきでした。

図7から

▲3九金打△2五飛成▲1一馬△8五香打▲8六香打△2八角打(図8)

▲3九金打が素晴らしい受けで粘り強い一手でした。ここでは△2九飛打としておいた方がよく2八ではなく2九なら先手の受けも難しいところだったのですが2八から打ってしまったので▲3九金と受けられて飛車が逃げる展開ではおかしくしています。

飛車を渡すわけにはいかないと△2五飛車成と逃げましたが▲1一馬と香車を補充されて駒損も少し回復され形勢が詰まっています。△8五香と今度は8筋を狙いますが今補充された香車で▲8六香と受けられてみると先手陣はしっかりしているのに対してこちらの玉形は酷いのでかなり怪しくしています。

後手としてはなんとか攻めたいと△2八角打と筋悪な攻めをしたのが図8でまだ少し後手が残しているみたいですがかなりの変調です。

 

図8から

▲4九金寄△4六角成▲2一馬△5一玉▲8五香△同飛 ▲7七桂△8四飛▲5五香打(図9)

▲4九金寄と受けられて△4六角成と馬を作ったのですが後手の攻め駒は先手陣にあまり利いていないのが辛いところですぐに厳しい手がないので▲2一馬と悠々と桂馬を補充されると後手が忙しいです。後手陣はとにかく薄いので先手から何かいいパンチが入って倒れてしまう展開だけは許せないと判断して△5一玉と先手の攻め駒から遠ざかって左辺に逃げ出す形を目指したのは悪くない判断だったと思います。こういう局面で無理に攻めて先手に駒を渡してしまうと反撃が厳しいですし先手は金を自陣に投入したので攻め駒が少し不足していますので玉を左辺へ逃げ出す形になれば後手玉を捕まえるのも容易ではないのでなかなか好判断だったと思います。駒不足の先手は▲8五香と8筋で香車を補充して▲5五香打の組み立てだったのですがこの▲5五香が疑問で後手が再び優勢な局面になったようです。

図9から

△4五馬▲同銀 △同龍 ▲6六角打△8二飛▲3一馬△4二銀打▲2二馬△4四銀打▲3七桂打△3五龍▲5六歩(図10)

5三の地点に殺到されて上から押さえつけられる展開になってしまうと後手玉が持ちませんので△4五馬と桂馬を外したのがいい判断で▲同銀に△同龍としておけば先手の持ち駒は角だけなので後手陣は安全です。▲6六角と香に紐を付けながら飛車取りに角を打たれましたが冷静に△8二飛と逃げておけば問題ありません。

図10では少し怖い筋もあるのですが対局中は受けきった判断して△9七歩の垂れ歩からじっくり攻めにいきました。

図10から

△9七歩打▲4五歩打△3三銀引▲3二馬△3一香打▲1四馬(図11)

図11以下は9八歩成とと金を作る手が入って勝つことが出来ました。

 


先手:相手
後手:自分
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△8四歩▲3三角成△同銀 ▲8八銀△3二金▲7七銀△6二銀▲7八金△6四歩▲6八玉△7四歩▲4六歩△9四歩▲9六歩△4二玉▲3六歩△5二金▲1六歩△1四歩(図1)

▲3七桂△8五歩▲4七銀△7三銀▲2九飛△8四銀▲4八金△7五歩(図2)

▲同歩 △同銀 ▲7六歩打△8六歩▲同歩 △同銀 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8二飛▲5六銀(図3)

△9五歩▲同歩 △9七歩打▲同香 △9六歩打▲同香 △8五銀打▲4五桂△4四銀(図4)
▲3五歩△9六銀▲8八銀打△3五銀(図5)

▲3三歩打△2二金▲2四歩△同銀 ▲5五角打△8四飛(図6)

▲3二歩成△同玉 ▲2四飛△同歩 ▲4一銀打△同玉 ▲2二角成△2八飛打(図7)
▲3九金打△2五飛成▲1一馬△8五香打▲8六香打△2八角打(図8)
▲4九金寄△4六角成▲2一馬△5一玉▲8五香△同飛 ▲7七桂△8四飛▲5五香打(図9)

△4五馬▲同銀 △同龍 ▲6六角打△8二飛▲3一馬△4二銀打▲2二馬△4四銀打▲3七桂打△3五龍▲5六歩(図10)

△9七歩打▲4五歩打△3三銀引▲3二馬△3一香打▲1四馬(図11)

△9八歩成▲3六歩打△2六龍
▲4四歩△同銀 ▲1五馬△2九龍▲4五歩打△3三銀引
▲2五桂△同歩 ▲5三香成△同金 ▲投了
まで118手で後手の勝ち