今回は後手ゴキゲン中飛車に対して、超速金戦法(仮)です。
超速金戦法(仮)とは対ゴキゲン中飛車用に研究をしはじめた奇襲戦法です。
ゴキゲン中飛車という戦法は現在、プロ間では一時の栄華からは考えられない程に苦戦しているようで特に後手ゴキゲン中飛車の勝率はかなり下がっているみたいです。
勝率低下の原因は超速▲3七銀戦法が優秀であるということみたいなのです。
超速は2010年度に升田賞を受賞した戦法でプロ間ではもう10年以上指され続けてきた戦法なのです。
当然、簡単な戦法ではないですし難解な将棋になります。
棋書ではこの戦法を詳しく解説しているものもあるようですが、私は持っていないですしプロの棋譜を見ても仕掛けの成否が細かな形の違いで変わってきたりかなり難しい戦法というイメージでとはいえ、他のゴキゲン中飛車対策もどうも勝率がよくないという状態でした。
仕方がないので、見様見真似で超速か一直線穴熊、最近は玉頭位取りをゴキゲン中飛車には用いてみましたがどれもイマイチに感じていました。
そんな中、ぷろぱんごりらさんのYouTube動画エセ中飛車対策を見ていて画期的な戦法を発見したのです。
それが、今回採用した超速金戦法(仮)なのです。
(図は△5五歩に▲3八金とした局面)
かなり異筋にみえる▲3八金が狙いの一手。
おそらくかなり変わった手ですので、相手はまだこちらの狙いに気付いていないはずです。
通常のよくある将棋ですと▲4八銀△5五歩に対しては▲6八玉として超速▲3七銀戦法を選んだり、▲5八金から穴熊等の堅い囲いを志向する手が多いはずなので、後手からみればこの▲3八金は中央に備えるわけでもないですし、堅い囲いにされる心配もない手にみえるのでかなり損な手に見えるはずです。
とりあえず、2筋の飛車先交換を受けて△3三角とする手が普通だと思いますが、▲2七金と上がります。
まだ自分の棋力帯では狙いに気付かない相手が殆どだと思いますが、この金は棒金で2筋の突破を狙うわけではなく、5五の歩を狙いにいっています。
相手は△6二玉として玉の整備をしてきましたが、先手はさらに▲3六金と上がります。
(図は▲3六金と上がったところ)
この▲3六金が狙いの構想で後手の△5五歩を狙っています。
これは通常の超速▲3七銀戦法と比べると▲3六歩を保留した状態で一手早く金を繰り出しているので、後手が通常形通りに対応する場合は△5四銀や△4四銀が間に合わないというのが先手の主張で後手ゴキゲン中飛車に対しての超速金戦法の主張になります。
この局面自体はまだ互角だと思いますが、こちらの土俵に引きずり込んで戦えていますので、先手としてはかなり気分がいいです‼︎
先手は5五や3四の歩を狙っていますので後手は何か対応しないといけないのですが本譜は△4四歩と先手の4五金の進出をさせない手を選んできました。
おそらく、△5五歩と5筋の歩を交換しにいくべきだったみたいです。
△4四歩は角道が一瞬止まるので、▲4六金とすり寄った手が5五の歩を狙っているのですが、この時に5五に角の利きが通っていないので大変受け辛いです。
仕方がないので、△4五歩と5筋に利かしますがこれを▲同金としても形が乱れないのが先手強み。具体的には超速▲3七銀戦法の場合だと飛車の小鬢(こびん)が相手いる為角で狙われたりする筋を警戒しないといけないがこの超速金の場合は3六歩を保留している効果でその心配がないというのも安心感があります。
また4五金の形はよくないとは思いますが、一手で4六金と戻れるのも金の特徴で対ノーマル中飛車に対して用いる金立ち戦法のような戦い方が出来るのが気に入っています。
後手はさらに△5六歩と負担になりそうな5筋の歩の捌きと角の捌きを狙ってきますが▲同歩△8八角成▲同銀と素直に対応して先手十分な形勢です。
先手玉形は薄くて金銀はバラバラですが、後手は飛車と持ち駒の角だけの攻めですので駒が立ち遅れているので具体的な厳しい攻めがありません。
また、後手玉形も美濃囲いが完成しているわけでもないので堅くないのです。
(△3三桂と金取りに桂馬を跳ねた局面)
後手は駒の活用ということで、△3三桂として金取りに当ててきましたがこれは▲4四角の切り返しがあって先手優勢だった。
後手の△6二玉が祟っていた形だったがこの手を逃して▲4六金と引いてしまったが、形勢は先手有利(600〜700くらい)
後手の駒が立ち遅れている点と一歩得が大きい。
▲4六金と引いたおかげで、5六歩に紐が付いて取り返される心配がなくなったので後手から仕掛ける手が難しい。
この後はお互い自陣の整備をしたが、先手からは角を打ち込んで馬を作る手が優ったみたいだし、後手は右辺に手をかけるより玉の整備を急ぐべきだったか?
(▲6五角と両取りに角を打った局面)
数手進んで、先手から▲6五角打ちと3二の金と8三の歩の両取りがかかって先手優勢。
後手は金を取らせるわけにはいかないので、△4三銀とするも▲8三角成と馬を作れてハッキリ先手よし。
△7二金と頑張ってくるも▲8四馬と〜▲8七馬と自陣に引きつけておいて先手陣に隙はなく、後手歩切れで依然として先手よし。
(お互いに自陣を整備し直して、後手が△4五銀とぶつけてきた局面)
先手は右銀を玉にくっつけて、壁銀だった銀は中央を支える為に6六に繰り出して不満のない形だが、もう少しいい駒組みがあったかもしれない。
形勢は駒の働きが大差で先手がかなり優勢。
この後は攻めあって先手の勝ちとなった。
一局を通しては、最善手を見逃していたり抜けが多い対局ではあったが、興味のある戦法が指せてよかった。
奇襲戦法としてはなかなか優秀だと思うので、しっかり研究して得意戦法にしていきたい。