対袖飛車 自戦記(34)
今回私は後手番で、先手袖飛車に居飛車で対抗した将棋となりました。
初手から
▲3六歩△3四歩▲3八飛△3二金▲1六歩△1四歩▲3五歩△同歩 ▲同飛 △8四歩▲7八金△8五歩▲3六飛(図1)
▲3六歩といきなり袖飛車宣言とも取れる初手からスタートしました。
袖飛車に対しては三間飛車に構えて対抗するような指し方も有力だと思っているのですが振り飛車はほとんど指さないので極力避けたいと思い△3二金と3筋を補強して居飛車で指すことを選択しました。
袖飛車に対しては以前見たアゲアゲさんの動画で矢倉囲いを目指して手厚く指す手順が自分の棋風にあっていていいイメージを持っていたのでそれを参考に指し進めていました。
▲1六歩が先手の方の工夫の手で、対局中全く狙いがわからなかったのですが、袖飛車は浮き飛車に構えてくることが多いので将来の飛車の稼働域が広くならないようにという意味と1三から端角に出る含みもあるし、居飛車で指すつもりでしたので玉を右に囲った時に玉の逃げ道を広げている意味もあるので1筋の突き合いは後手が得をしているだろうと判断して突き合ったのですが、結論ここでは無視して他の手を優先する方がよかったみたいです。
先手は1筋の突き合いを入れた後は自然に3筋で1歩交換をして▲3六飛と浮き飛車に構えたのが図1です。
図1から
△4一玉▲3七桂△6二銀▲4八銀△5二金
▲6九玉△4二銀▲6八銀△4四歩(図2)
お互いに陣形を整備していきます。
先手の構えは石田流のような形ですので、金銀が手厚い形の矢倉に構えれば自然に飛車を圧迫することができるので方針通りに矢倉を目指した△4四歩の局面が図2です。
図2から
▲1五歩△同歩 ▲1三歩打△3三角▲4六歩△4三銀▲7九玉△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8五飛▲7六歩△3五歩打▲2六飛△3四銀▲6六角△5四歩▲7七桂△8二飛▲2五桂(図3)
▲1五歩の突き捨てが機敏な仕掛けで先手の狙い筋でした。素直に△同歩と応じますが▲1三歩と端をいじられると気持ちの悪いところです。同桂や同香とこの1三歩を取ってしまうのは先手の攻めが決まってしまうので△3三角と1五歩に紐をつけて▲1五香と走らせないようにしましたが1筋に傷が出来て1三歩が残っている状態なので後手としても非常に気持ちの悪いところです。
この端攻めの考えは相振り飛車でよく出てくる筋の攻めに似ていて非常にリスクの低い攻め方で縦の将棋では有効な筋だと思いますし相振り飛車で向かい飛車対三間飛車の将棋の左右反転と考えれば端から手を作る将棋は珍しいわけではないのですが、袖飛車の将棋でその筋を応用して使うことができるというのは知らなかったのですごく参考になりました。
袖飛車という戦法は今までそんなに関心の持てる戦法ではなかったのですが定跡形の将棋を外して戦うには可能性のある戦法だと認識を改めさせてもらいました。
▲4六歩と先手は4筋も絡めて攻めてこようとしてきましたので△4三銀と雁木の形を作って陣形を整えましたが、これは当初からの予定の矢倉を作る形にすると3三角が邪魔になってしまうと考えての予定変更でしたが本譜でもそう進むのですが、先手からはどこかのタイミングで▲2五桂と3三角に狙いをつけて桂馬を跳ねてくる筋の攻めがとんでくるので△4三金とした方がよかったみたいです。
ただ、実戦心理としては1筋で戦いをしてこられていますので戦場に近づかないで玉を安定させられる雁木を選びたくなるところではあります。
後手としても戦う場所を求めていきたいところですので、8筋の飛車先の歩交換をして△8五飛と構えたのはなかなかの構想だったと思います。△3五歩と飛車の頭に歩を叩くのが狙いの一手で先手の飛車を3筋から外れせてしまえば先手からの厳しい攻めはなくなるだろうという考えだったのですが、▲2五桂がいやらしい攻めで先手の仕掛けが成立していたみたいです。
図3から
△2二角▲1五香△1三桂▲3三歩打△4三金左▲1三香成△同香 ▲同桂成△同角 ▲1六飛△1二歩打▲1五香打(図4)
△2二角と逃げたのですが、これがかなり危険な一手だったようで正着は△2四角と逃げるべきだったようです。対局中は▲4四角と飛び出される筋を警戒して△2二角と引いたのですが、1筋で精算されて▲3三歩の放り込みが厳しい一手で同金と取るわけにはいかないので4三金左とかわしたのですが、ここで▲4五歩とされると後手陣は崩壊していたみたいです。
本譜は1三香成から精算してくれたので自然に対応して▲1六飛と角に当てながら飛車を捌きにきてくれたので△1二歩と下から支えて▲1五香と足し算の攻めで確実に1筋突破を狙ってくれたのですが、この瞬間先手の攻めが重たいので後手が有利な局面となりました。
図4から
△2四角▲1二香成△1五歩打▲1九飛△8三香打(図5)
△2四角と逃げて▲1二香成と1筋突破は許してしまうのですが、△1五歩と抑えておけば先手の飛車の成り込みは防げるので1二の成香が宙ぶらりんな駒になっています。
先手は飛車を渡すわけにはいかないので▲1九飛と後手を引くしかないので△8三香打と8筋から反撃して後手が優勢となりました。
図5から
▲8八玉△6四桂打▲2二成香△3三金▲4五歩△同銀 ▲2五桂打△4三金寄▲3三歩打△7六桂▲7九玉△8七香成▲同金 △同飛成(図6)
▲8八玉と8七の地点に玉で利きを足してなんとか受けようとしてきますが△6四桂打がピッタリした攻めで次の7六桂が王手銀取りとなって痛いです。
先手も攻め合う形を目指して▲2二成香から頑張ってきますが、丁寧に応じておいてやはり△7六桂が炸裂してはっきりしました。▲7九玉と逃げますが8七で精算して8七に龍が出来て後手大優勢です。
図6から
▲6九玉△8八龍▲5九金△7八金打▲5八玉△6八金▲4七玉△5九金▲同飛 △3六銀▲5六玉△4八龍▲6五玉△5九龍▲7二金打△8九龍▲3二歩成△5一玉▲2三成香△6四銀打▲7六玉△8六飛打(終局図)
後手玉は寄らない形でしたので、あとは自然に攻めて先手玉を物量で詰ますことができました。途中即詰みを逃してしまったのですが局面が優勢だったこともあって逆転されなかったのはよかったです。
先手の方は袖飛車が得意戦法だったようで1筋からの仕掛けは非常に参考になりましたし、袖飛車という戦法の認識を改めることになった一局となりました。
▲3六歩△3四歩▲3八飛△3二金▲1六歩△1四歩▲3五歩△同歩 ▲同飛 △8四歩▲7八金△8五歩▲3六飛(図1)
△4一玉▲3七桂△6二銀▲4八銀△5二金
▲6九玉△4二銀▲6八銀△4四歩(図2)
▲1五歩△同歩 ▲1三歩打△3三角▲4六歩△4三銀▲7九玉△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8五飛▲7六歩△3五歩打▲2六飛△3四銀▲6六角△5四歩▲7七桂△8二飛▲2五桂(図3)
△2二角▲1五香△1三桂▲3三歩打△4三金左▲1三香成△同香 ▲同桂成△同角 ▲1六飛△1二歩打▲1五香打(図4)
△2四角▲1二香成△1五歩打▲1九飛△8三香打(図5)
▲8八玉△6四桂打▲2二成香△3三金▲4五歩△同銀 ▲2五桂打△4三金寄▲3三歩打△7六桂▲7九玉△8七香成▲同金 △同飛成(図6)
▲6九玉△8八龍▲5九金△7八金打▲5八玉△6八金▲4七玉△5九金▲同飛 △3六銀▲5六玉△4八龍▲6五玉△5九龍▲7二金打△8九龍▲3二歩成△5一玉▲2三成香△6四銀打▲7六玉△8六飛打(終局図)