厚み重視ブログ

将棋のメモ用

対袖飛車 自戦記(34)

今回私は後手番で、先手袖飛車に居飛車で対抗した将棋となりました。

 

初手から

▲3六歩△3四歩▲3八飛△3二金▲1六歩△1四歩▲3五歩△同歩 ▲同飛 △8四歩▲7八金△8五歩▲3六飛(図1)

▲3六歩といきなり袖飛車宣言とも取れる初手からスタートしました。

袖飛車に対しては三間飛車に構えて対抗するような指し方も有力だと思っているのですが振り飛車はほとんど指さないので極力避けたいと思い△3二金と3筋を補強して居飛車で指すことを選択しました。

袖飛車に対しては以前見たアゲアゲさんの動画で矢倉囲いを目指して手厚く指す手順が自分の棋風にあっていていいイメージを持っていたのでそれを参考に指し進めていました。

▲1六歩が先手の方の工夫の手で、対局中全く狙いがわからなかったのですが、袖飛車は浮き飛車に構えてくることが多いので将来の飛車の稼働域が広くならないようにという意味と1三から端角に出る含みもあるし、居飛車で指すつもりでしたので玉を右に囲った時に玉の逃げ道を広げている意味もあるので1筋の突き合いは後手が得をしているだろうと判断して突き合ったのですが、結論ここでは無視して他の手を優先する方がよかったみたいです。

先手は1筋の突き合いを入れた後は自然に3筋で1歩交換をして▲3六飛と浮き飛車に構えたのが図1です。

図1から

△4一玉▲3七桂△6二銀▲4八銀△5二金
▲6九玉△4二銀▲6八銀△4四歩(図2)

お互いに陣形を整備していきます。

先手の構えは石田流のような形ですので、金銀が手厚い形の矢倉に構えれば自然に飛車を圧迫することができるので方針通りに矢倉を目指した△4四歩の局面が図2です。

 

図2から

▲1五歩△同歩 ▲1三歩打△3三角▲4六歩△4三銀▲7九玉△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8五飛▲7六歩△3五歩打▲2六飛△3四銀▲6六角△5四歩▲7七桂△8二飛▲2五桂(図3)

▲1五歩の突き捨てが機敏な仕掛けで先手の狙い筋でした。素直に△同歩と応じますが▲1三歩と端をいじられると気持ちの悪いところです。同桂や同香とこの1三歩を取ってしまうのは先手の攻めが決まってしまうので△3三角と1五歩に紐をつけて▲1五香と走らせないようにしましたが1筋に傷が出来て1三歩が残っている状態なので後手としても非常に気持ちの悪いところです。

この端攻めの考えは相振り飛車でよく出てくる筋の攻めに似ていて非常にリスクの低い攻め方で縦の将棋では有効な筋だと思いますし相振り飛車で向かい飛車対三間飛車の将棋の左右反転と考えれば端から手を作る将棋は珍しいわけではないのですが、袖飛車の将棋でその筋を応用して使うことができるというのは知らなかったのですごく参考になりました。

袖飛車という戦法は今までそんなに関心の持てる戦法ではなかったのですが定跡形の将棋を外して戦うには可能性のある戦法だと認識を改めさせてもらいました。

▲4六歩と先手は4筋も絡めて攻めてこようとしてきましたので△4三銀と雁木の形を作って陣形を整えましたが、これは当初からの予定の矢倉を作る形にすると3三角が邪魔になってしまうと考えての予定変更でしたが本譜でもそう進むのですが、先手からはどこかのタイミングで▲2五桂と3三角に狙いをつけて桂馬を跳ねてくる筋の攻めがとんでくるので△4三金とした方がよかったみたいです。

ただ、実戦心理としては1筋で戦いをしてこられていますので戦場に近づかないで玉を安定させられる雁木を選びたくなるところではあります。

後手としても戦う場所を求めていきたいところですので、8筋の飛車先の歩交換をして△8五飛と構えたのはなかなかの構想だったと思います。△3五歩と飛車の頭に歩を叩くのが狙いの一手で先手の飛車を3筋から外れせてしまえば先手からの厳しい攻めはなくなるだろうという考えだったのですが、▲2五桂がいやらしい攻めで先手の仕掛けが成立していたみたいです。

図3から

△2二角▲1五香△1三桂▲3三歩打△4三金左▲1三香成△同香 ▲同桂成△同角 ▲1六飛△1二歩打▲1五香打(図4)

△2二角と逃げたのですが、これがかなり危険な一手だったようで正着は△2四角と逃げるべきだったようです。対局中は▲4四角と飛び出される筋を警戒して△2二角と引いたのですが、1筋で精算されて▲3三歩の放り込みが厳しい一手で同金と取るわけにはいかないので4三金左とかわしたのですが、ここで▲4五歩とされると後手陣は崩壊していたみたいです。

本譜は1三香成から精算してくれたので自然に対応して▲1六飛と角に当てながら飛車を捌きにきてくれたので△1二歩と下から支えて▲1五香と足し算の攻めで確実に1筋突破を狙ってくれたのですが、この瞬間先手の攻めが重たいので後手が有利な局面となりました。

図4から

△2四角▲1二香成△1五歩打▲1九飛△8三香打(図5)

△2四角と逃げて▲1二香成と1筋突破は許してしまうのですが、△1五歩と抑えておけば先手の飛車の成り込みは防げるので1二の成香が宙ぶらりんな駒になっています。

先手は飛車を渡すわけにはいかないので▲1九飛と後手を引くしかないので△8三香打と8筋から反撃して後手が優勢となりました。

図5から

▲8八玉△6四桂打▲2二成香△3三金▲4五歩△同銀 ▲2五桂打△4三金寄▲3三歩打△7六桂▲7九玉△8七香成▲同金 △同飛成(図6)

▲8八玉と8七の地点に玉で利きを足してなんとか受けようとしてきますが△6四桂打がピッタリした攻めで次の7六桂が王手銀取りとなって痛いです。

先手も攻め合う形を目指して▲2二成香から頑張ってきますが、丁寧に応じておいてやはり△7六桂が炸裂してはっきりしました。▲7九玉と逃げますが8七で精算して8七に龍が出来て後手大優勢です。

図6から

▲6九玉△8八龍▲5九金△7八金打▲5八玉△6八金▲4七玉△5九金▲同飛 △3六銀▲5六玉△4八龍▲6五玉△5九龍▲7二金打△8九龍▲3二歩成△5一玉▲2三成香△6四銀打▲7六玉△8六飛打(終局図)

後手玉は寄らない形でしたので、あとは自然に攻めて先手玉を物量で詰ますことができました。途中即詰みを逃してしまったのですが局面が優勢だったこともあって逆転されなかったのはよかったです。

 

先手の方は袖飛車が得意戦法だったようで1筋からの仕掛けは非常に参考になりましたし、袖飛車という戦法の認識を改めることになった一局となりました。



▲3六歩△3四歩▲3八飛△3二金▲1六歩△1四歩▲3五歩△同歩 ▲同飛 △8四歩▲7八金△8五歩▲3六飛(図1)

△4一玉▲3七桂△6二銀▲4八銀△5二金
▲6九玉△4二銀▲6八銀△4四歩(図2)

▲1五歩△同歩 ▲1三歩打△3三角▲4六歩△4三銀▲7九玉△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8五飛▲7六歩△3五歩打▲2六飛△3四銀▲6六角△5四歩▲7七桂△8二飛▲2五桂(図3)

△2二角▲1五香△1三桂▲3三歩打△4三金左▲1三香成△同香 ▲同桂成△同角 ▲1六飛△1二歩打▲1五香打(図4)

△2四角▲1二香成△1五歩打▲1九飛△8三香打(図5)
▲8八玉△6四桂打▲2二成香△3三金▲4五歩△同銀 ▲2五桂打△4三金寄▲3三歩打△7六桂▲7九玉△8七香成▲同金 △同飛成(図6)

▲6九玉△8八龍▲5九金△7八金打▲5八玉△6八金▲4七玉△5九金▲同飛 △3六銀▲5六玉△4八龍▲6五玉△5九龍▲7二金打△8九龍▲3二歩成△5一玉▲2三成香△6四銀打▲7六玉△8六飛打(終局図)

 

角換わり腰掛け銀(旧型) 自戦記(33)

今回はかなきち先生のYouTubeライブ(かなきち将棋道場LIVE生配信新企画将棋ウォーズ友達対局 友達対局 えっ!!八段!! - YouTube)で友達対局をしていただけたので記念に棋譜を残しておきます。

今回自分は後手番で、かなきち先生が先手となりました。ライブでの対局ということで3切れや10秒将棋でサクサク指したいところ私のワガママを聞いていただけて10切れでご指導いただけました。

 

初手から

▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△3二金▲2五歩△7七角成▲同銀 △2二銀▲7八金△3三銀▲4八銀△6二銀▲4六歩△6四歩▲4七銀△4二玉▲1六歩△9四歩▲9六歩△7四歩▲6八玉△5二金▲5八金(図1)

初手▲7六歩の出だしで後手番の私が角換わりを目指しましたので先手は素直に応じていただけました。後手番でしたので△6四歩型角換わり棒銀をぶつけてみたいと思って△5二金としたのですが、▲5八金と先手も旧型を目指されたのが図1です。

 

図1から

△7三桂▲5六銀△1四歩▲3六歩△6三銀▲6六歩△5四銀▲7九玉△3一玉▲3七桂△6二飛(図2)

△6四歩型角換わり棒銀は旧型に対してはあまり得な作戦ではないと思い△7三桂と棒銀を目指すのはやめたのですが、かなきち先生の対局中の発言で「ここから棒銀を目指してくる人もいます」とおっしゃっていましたので△6四歩型角換わり棒銀はマイナーな戦法だと思っていたのですが棒銀をしてくることも想定内だったようです。

お互いに腰掛け銀に構えて旧型の相腰掛け銀模様となったのですが流石に42173の攻めを受け止める自信はなかったので△4四歩は保留して△6二飛と右四間に構えて6五を争点にして戦う方針を選びました。

図2から

▲4五歩△8四角打▲4六角打△4二金右▲6七金右△2二玉▲8八玉△9二香(図3)

後手は4四歩を指していないので▲4五歩と4筋の位を取られて▲4六角と設置されてしまいました。こちらも△8四角と設置して6五で決戦してやろうと思っていたのですが金銀を手厚く構えられて手出しができないので△4二金右と玉にくっつけて△2二玉と深く囲ってタイミングを見ていたのですが先手にも十分に駒組みされてしまってなかなか手出しができない形となってしまいました。△9二香は将来6五歩と突いた時に香車をダイレクトに取られないように手待ちした意味だったのですがこの辺りはすでに後手作戦負けみたいで先手の4筋の位が大きいみたいです。いずれにしても後手番から局面を打開する義務はないと指導対局にしては消極的な展開なのですが先手から動いてもらうつもりでこのあたりは徹底待機策のつもりでした。

図3から

▲2四歩△同歩 ▲3五歩△同歩 ▲2六飛△6五歩▲同歩 △同桂 ▲6六銀△6四歩打(図4)

先手からどうやって仕掛けてくるか全くわからなかったのですが、▲2四歩と2筋の突き捨てられてみるとこれは同歩も同銀も嫌なところです。先手に銀を渡すと5一に割打される傷を後手は抱えているので先手に銀を渡すような展開にしづらいのが後手の泣きどころです。

結局△2四同歩と歩で応じたのですがこれは先手に歩を渡すと▲2五歩からの継ぎ歩攻めがあるのでかなり悩んで△同歩を選択しました。どこかでは歩を入手されてその筋の攻めは予想されるのですがその一歩が瞬間ないのでこちらの方が被害が少ないという判断だったのですがこれは正解だったようです。

ただ先手から▲3五歩と突き捨てられて△同歩に▲同角と歩を補充してくるなら桂頭に歩を打てるので後手がいいだろうと思っていたのですが▲2六飛と一回冷静に飛車浮きで桂頭の傷を消されて手を渡すのが部分的な筋のようでこうやって手を作るのかと大変勉強になりました。桂頭の傷を消されて次こそは先手からの猛攻が来てしまうので後手も攻め合いに活路を見出さなければいけないと△6五歩と満を侍して反撃したのですが、▲同歩と応じられて本当は△同銀と決戦を仕掛けたいのですがやはり銀を渡すと先手の方が銀の使い道が多く後手陣の方が5一や7三に打ち込まれて苦しくなってしまうと考え△同桂と指しました。

先手は自然に▲6六銀と手厚く構えられてしまって上手い攻め方がわからなかったので△6四歩と桂馬を支える手を違うと思いながら指したのですがこの手はかなり悪い手のようで評価値も先手にかなり振れてしまいました。

後手の駒組みは6五でドンパチやって反撃する将棋の作りだったのでここに歩を打ってしまうのは飛車道が重たくなってしまいますし今までの後手の方針から考えてもない手だったようです。ここまで先手は2分40秒ほどしか時間を使っていないのに後手は7分40秒も時間を使ってしまっているのも痛くて後手は局面も悪く時間も大差です。

図4から

▲2五歩打△3四銀▲2四歩△2五歩打▲同桂 △2三歩打▲3三歩打△同桂 ▲2三歩成△同金
▲3三桂成△同金上▲3六歩打△2五歩打▲2九飛(図5)

先手は6筋で手に入れた1歩を▲2五歩と使ってついに継ぎ歩の攻めが来てしまいました。△3四銀と頑張って先手の飛車を抑え込みにかかりました。先手からの攻めは強烈だったのですが桂交換は許してしまいましたが△2三歩〜△2五歩と玉頭に厚みを築いて飛車を2九に撤退させた図5の局面はなかなか頑張ってさせたと思っています。この図5の局面は後手も互角の評価値ですし対局中もうまく対応できたと感じていました。

ただし後手陣は厚みは築けたものの先手陣が鉄壁で攻め合う筋がないので評価値以上に後手が勝つのは大変な局面に変わりは無さそうです。

図5から

△4五銀左▲同銀 △同銀 ▲3五角△4四銀打(図6)

後手陣は金が移動できたので割打の筋を解消できたので銀を捌きに△4五銀とぶつけていったのですがここでは冷静に△3六歩としておく方が優ったようです。

先手に素直に応じられて▲3五角と出られて5三角成を許すわけにはいかないので交換した銀を後手は△4四銀と投入しなければいけません。

ただ局面は互角を推移しているようで手厚く指す本譜の方針はここまではそんなに悪くなかったかもしれません。△4四銀打自体は角成を受けつつ角当たりで先手も取っているのでなかなかな手だったようです。

図6から

▲同角 △同歩 ▲3五桂打△2四金直▲2三歩打△同金寄▲同桂成△同玉 ▲3五銀打△同金 ▲同歩 △2四銀打(図7)

ズバッと▲同角と角切りから切り崩すのが切れ味抜群で対局中は逃げる一手とばかり思っていましたがそんな緩い手は指してくれませんでした。△同歩と応じて▲3五桂が厳しい追撃で桂馬で金を剥がされては堪らないと△2四金直と逃げたのですがこれがはっきり悪い手だったみたいでここでは△5五桂と攻め合いに活路を見いだすところだったみたいです。

やはり先手陣に怖いところがないので攻めさえ繋がってしまえばいい局面になってしまっているのですが3五桂から金を剥がされてもまだ後手陣はなんとか耐えていたみたいでとにかく先手陣に傷を作るように指さなければ勝負所はなかったようです。△2四金直には▲2三歩と調子のいい攻めが続いてしまいました。本譜は素直に精算してしまったのですがここでは△3二玉と逃げておく方が相手の持ち駒が銀だけなのでよかったみたいです。

本譜は華麗に相手の攻めが繋がって△2四銀は受けになっていません。この手自体は先手の飛車走りを受ける意味だったのですが...
図7から

▲4六歩打△同銀 ▲3四金打△3二玉▲4三銀打△4一玉▲2四金△5七桂成▲3三金△5一玉▲5七銀△同銀成▲6三桂打△投了

▲4六歩打が激痛で後手陣はハッキリ崩壊してしまいました。△同銀に▲3四金と流れるような華麗な攻めを喰らってしまい形勢はハッキリ先手勝勢です。仕方なく玉を下段に逃して逃走を図りますが金銀に押し潰されて物量で攻められてしまいました。せめてもの抵抗で△5三桂成と手遅れながら攻めてみますがこの桂を取られて▲6三桂と打ち込まれて即詰みに討ち取られてしまいました。

後手が形勢が良くなった局面は全然なかったのですが憧れのかなきち先生にご指導いただけて大変貴重な経験になりましたし、攻め筋の鋭さにも自分と強者の感覚の違いも段違いであることを改めて感じることができました。

とてもいい勉強になった一局となりました。

対局ありがとうございました。

 

 

 

▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀△3二金▲2五歩△7七角成▲同銀 △2二銀▲7八金△3三銀▲4八銀△6二銀▲4六歩△6四歩▲4七銀△4二玉▲1六歩△9四歩▲9六歩△7四歩▲6八玉△5二金▲5八金(図1)

△7三桂▲5六銀△1四歩▲3六歩△6三銀▲6六歩△5四銀▲7九玉△3一玉▲3七桂△6二飛(図2)

▲4五歩△8四角打▲4六角打△4二金右▲6七金右△2二玉▲8八玉△9二香(図3)

▲2四歩△同歩 ▲3五歩△同歩 ▲2六飛△6五歩▲同歩 △同桂 ▲6六銀△6四歩打(図4)

▲2五歩打△3四銀▲2四歩△2五歩打▲同桂 △2三歩打▲3三歩打△同桂 ▲2三歩成△同金
▲3三桂成△同金上▲3六歩打△2五歩打▲2九飛(図5)

△4五銀左▲同銀 △同銀 ▲3五角△4四銀打(図6)

▲同角 △同歩 ▲3五桂打△2四金直▲2三歩打△同金寄▲同桂成△同玉 ▲3五銀打△同金 ▲同歩 △2四銀打(図7)

▲4六歩打△同銀 ▲3四金打△3二玉▲4三銀打△4一玉▲2四金△5七桂成▲3三金△5一玉▲5七銀△同銀成▲6三桂打△投了

まで101手で先手の勝ち

先手ゴキゲン中飛車模様からの力戦 自戦記32

今回は将棋ウォーズ10分切れ負けで三段の方との一戦。

相手の得意戦法はゴキゲン中飛車、こちらは後手番なので先手ゴキ中が想定されるのですが、先手ゴキ中に対しての作戦は自分の中で定まってないので苦労している戦法です。

 

初手から

▲7六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲5五歩△8五歩▲7七角△6二銀▲6八銀△4二玉(図1)

後手番ですので普段なら▲7六歩に対しては△8四歩と飛車先を突く形を選んでいるのですが、相手の得意戦法がゴキゲン中飛車だとわかっているので久々に2手目△3四歩を選択しました。これは相振り飛車も考慮しての一手だったのですが△5六歩と5筋の歩を案の定突かれて相手が格上ということもあって不慣れな相振り飛車にするのはよくないと結局△8四歩と居飛車を選びました。

図1の局面まで進めばよくある先手ゴキゲン中飛車対後手居飛車の形に合流していると思いますが居合い抜き超速や左美濃での対策では△3四歩を保留して駒組みを進めるので居飛車を選ぶなら作戦の幅を狭めている進行だったかもしれません。

 

図1から

▲5七銀△3二銀▲4六銀△3三銀▲3六歩△5二金右▲3八飛(図2)

先手は飛車を振るのを保留して、5七銀〜4六銀と銀の進出を急いできましたがこれは珍しい形だと思います。こちらは先手が5筋の位を取ってくるパターンでしたので2枚銀で抑え込んでいく指し方でいこうと△3三銀から△4四銀を目指していたのですが▲3八飛が先手の構想で後手の玉頭を直接攻めてくるような力戦形となりました。

図2から

△3二金▲3五歩△同歩 ▲同銀 △4一玉▲3六飛△7四歩▲4八玉△7三銀▲3八玉△6四銀▲3七桂△4四銀(図3)

先手が袖飛車にして3筋の玉頭を攻める形を作ってきたので△3二金と守るのは普通の手だと思いますが、手損ながら△4一玉と4二玉を引いた手が自慢の一手で4二だと先手の攻めに近すぎて危険なところですので冷静な一手だったと思います。

おそらく先手はこの玉引きを見て、▲3六飛〜

▲3七桂と跳ねて▲5六飛から中飛車に戻す構想で右に玉を囲ってきましたがこれは少し無理な構想だったようで、△4四銀とぶつけて3三の銀を捌きにいったのが好判断で後手が作戦勝ち模様です。

図3から

▲同銀 △同角 ▲4五桂△3五歩打▲5六飛△3四銀打▲4六歩(図4)

▲4四同銀に△同角と応じて▲4五桂と跳ね出してきましたが、一度△3五歩と飛車先を抑えておけば3筋から暴れてくる筋はありません。

▲5六飛と5筋に転換しますが△3四銀と3筋のくらいを安定させておけば後手陣はしっかりしてきます。この銀打は桂取りなので▲4六歩と支えてきましたが先手は守りの桂が跳ねてしまっていますし、玉形が不安定で特に玉頭が薄いので後手が有利になりました。

図4から

△2二角▲4八金△4四歩▲5四歩△同歩 ▲同飛 △4三金右▲5九飛△5四歩打▲5三歩打△4二金寄▲5二銀打△3二玉▲6三銀成(図5)

△2二角と引いたのは△4四歩として歩で4四の桂馬を取る狙いでしたがこれはイマイチな手だったみたいです。▲5四歩と5筋から決戦を仕掛けられる手がなかなかうるさい攻めで△同歩▲同飛に△4三金と上がった手が悪手でした。ここで▲5二銀と絡んでくる手があってそう指されていれば先手は銀損ながら無理矢理飛車交換に持ち込んで▲8二飛と先着してなかなか難しい形勢だったみたいです。

▲5九飛と飛車を引いてくれたので△5四歩と局面を収めにいきますが▲5三歩が攻めをつなぐいい手であまり考えていなかったのですが大変な局面になってしまいました。

△4二金寄と頑張って受けたつもりだったのですが▲5二銀とやはり打たれてうるさい攻めです。△3二玉と上がって▲6三銀成とされる手が見えていなくてものすごく焦ってしまいました。

図5から

△5三銀▲同桂成△同金寄▲同成銀△同金 ▲6五銀打△4三銀打(図6)

図5の時点で局面を悪くしてしまったと思っていましたので、▲5二歩成だけは絶対にさせないと5三歩のと金のタネを払って金桂交換の駒損ながら先手玉は薄いので自玉を安全にして勝負を長引かせにいきました。

図6から

▲9五角△3三角▲7四銀△9四歩▲7三銀成△4二飛▲8四角△4五歩▲同歩 △9九角成▲6三金打△同金 ▲同成銀△4六香打
▲5三歩打(図7)

▲9五角の飛び出しから馬作りで先手は手を作りにきますが、△3三角と5一の地点を受けてしまえば大したことはありません。

手順に飛車も右辺に使って△4五歩と飛車角に喝を入れて△4六香と歩の裏側から攻めた手が厳しく後手がよくなりました。

図7から

△4八香成▲同銀 △4六桂打▲4七玉△4五銀
▲5七玉△8九馬▲6六玉△7四金打▲5一角成△8八馬▲7七香打△6五歩打▲5七玉△7七馬▲4七銀△5五香打▲4八玉△5九香成▲同金 △3六桂打▲同銀 △5九馬▲投了

先手玉は薄いので△4八香成と攻め合って寄せ切ることができました。

途中即詰みを逃していたようですが自玉は安全なので勝ち切ることができてよかったです。

 


▲7六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲5五歩△8五歩▲7七角△6二銀▲6八銀△4二玉(図1)

▲5七銀△3二銀▲4六銀△3三銀▲3六歩△5二金右▲3八飛(図2)

△3二金▲3五歩△同歩 ▲同銀 △4一玉▲3六飛△7四歩▲4八玉△7三銀▲3八玉△6四銀▲3七桂△4四銀(図3)
▲同銀 △同角 ▲4五桂△3五歩打▲5六飛△3四銀打▲4六歩(図4)

△2二角▲4八金△4四歩▲5四歩△同歩 ▲同飛 △4三金右▲5九飛△5四歩打▲5三歩打△4二金寄▲5二銀打△3二玉▲6三銀成(図5)

△5三銀▲同桂成△同金寄▲同成銀△同金 ▲6五銀打△4三銀打(図6)

▲9五角△3三角▲7四銀△9四歩▲7三銀成△4二飛▲8四角△4五歩▲同歩 △9九角成▲6三金打△同金 ▲同成銀△4六香打
▲5三歩打(図7)

△4八香成▲同銀 △4六桂打▲4七玉△4五銀
▲5七玉△8九馬▲6六玉△7四金打▲5一角成△8八馬▲7七香打△6五歩打▲5七玉△7七馬▲4七銀△5五香打▲4八玉△5九香成▲同金 △3六桂打▲同銀 △5九馬▲投了
まで96手で後手の勝ち

後手番の序盤の新たな課題の発見(2022年11月現在)

後手番の作戦はここ一年ほどずっと悩んでいるのですが新たな課題局面が実戦で現れたのでメモで残しておきます。

初手から

▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲2五歩△3二金▲7八金

▲7六歩の場合は△8四歩のオープニングから角換わりか矢倉を目指すことに決めているのですが、お互いに飛車先を突き合って、△3二金とした局面で手の流れからいくなら▲7七角と角換わりを先手は目指すところで▲3二金(上図)とされると指したくない相掛かりか横歩取りに誘導されてしまうということに気づきました。

手の流れから考えると先手は相居飛車なら角換わりを目指している形なので出現頻度は少ない局面ですが、この手順で誘導されると後手横歩取りを避けるなら相掛かりか一手損角換わりにいくしかなさそうなので何か対策を用意しておかなければいけない形だと判明しました。

正直相居飛車はどう指したらいいのか自分の中で迷走している状況ですし、こんなオープニング対策も考えて用意しなければいけないのかと思いメモとして残しておきます。

横歩取り模様(相掛かり)力戦 自戦記(31)

初手から

▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩 ▲同飛 △8六歩▲同歩 △同飛 ▲9八香(図1)

今回は後手番だったのですが、普段は後手番の横歩取りを目指すことはないのですが▲2六歩△3四歩▲7六歩という出だしでこの形から後手番で横歩を避けて居飛車をするなら角道を止めて無理やり矢倉や雁木などの将棋か一手損角換わりを選ぶしかないので後手番の時にこのオープニングはもうずっと困っている形です。

振り飛車を指すようなこともあるのですが正直あんまり上手くいかないですし、今回はなんとなく居飛車を指したい気分でしたので一番自然な進行の横歩取りを目指しました。

お互いに飛車先を切って、先手が▲3四飛と歩を取れば横歩取りになったのですが▲9八香と先手が変化してきました。

この手は以前指されたことがある手で嵌められてしまったことがある少しハメ手気味の手です。一手パスように見えるので△7六飛と後手から横歩を取りに行きたくなるのですが△7六飛には▲2二角成から4五角戦法を目指されて通常の定跡通りに進め△3三角打が香車取りになっていないので▲2二飛成△同角▲7六角と進んだ時に△9九角成が空成になってしまい定跡形よりかなり損な進行になります。

ぴよ将棋先生は△7六飛と後手が横歩を取る手を推奨していましたので横歩を取って後手が悪いわけではないみたいですが△7六飛は選びにくいです。

図1から

△8二飛▲8七歩打△2三歩打▲2八飛△7二銀▲3八銀(図2)

△7六飛が選びにくいので本局は△8二飛車と一回不安定な8四飛車を引き上げて大人しく指したのですが代えて△8五飛と中段飛車に構えて頑張る手や先に△2三歩と納めて先手の対応を聞く手、手損ながら△8八角成として先手の9八香に満足して角換わりに誘導する手など手などここは非常に手が広い局面でした。後手としてはやはり9八香が損な手でしょうと主張していきたいと考えましたし先手から定跡形を外してきたところですので相手の研究にハマって形勢を悪くしたくないというところでしたので1番事故の少なそうな手を選びました。次に△8六歩の垂らしがあるので▲8七歩は自然です。後手も△2三歩と2筋に歩を打って先手の対応を聞いたのですが先手も飛車をどう逃げるかは手が広いところでどこに逃げても一局の将棋だと思います。▲2八飛とお互いに深く引いて△7二銀▲3八銀と進んだ図2では先手の9八香が殆ど無駄手になっていて相掛かりの先後が入れ替わったような進行ですので後手としては不満のない局面かと思います。

図2から

△8三銀▲2二角成△同銀 ▲8八銀△8四銀▲7七銀△8五銀▲5六角打△8四飛▲6八玉△3三銀▲9六歩△9四歩▲1六歩△4二玉
▲3六歩△6四歩(図3)

△8三銀から棒銀を目指すのが1番わかりやすく9八香を咎めにいける方針だと思いましたので銀を繰り出していきました。棒銀で攻めていけば端を絡めて攻める筋があるのでそうなった時に9八香と指した手が損になっているという主張です。▲2二角成〜▲8八銀は狙われている角頭を角交換して角を捌いて8七の地点を金銀で守ってしまおうという意図ですが後手は手得しているという利があるので不満なしです。

後手としては棒銀を目指したので△8四銀〜△8五銀とズンズンと出て行くだけです。

▲5六角打は角換わり棒銀に対してよく出てくる角打ちで先手はこの角に期待して角交換をしてきたのですが、通常の角換わり棒銀と比較すると、8筋の歩交換が既に出来ている点と何より8五まで銀が進出しているのが後手としては

大きいです。▲5六角に△8四飛がピッタリな手で3四の歩に飛車で紐をつけながら8三に歩や銀を打つような先手の手を受けています。これが通常の角換わり棒銀なら▲6六銀と出て次に▲7五銀を狙うような狙いがあるのですが、本局では8五銀と銀が五段目まで進んでいる効果で△7六銀とできるので先手は面白くありません。▲6八玉と居玉を避けますが△3三銀とこちらも壁銀を解消しながら3四の歩に銀で紐をつけておくことで飛車を楽にしておけばいつでも△8六歩と仕掛ける権利がある後手が指しやすそうです。

ここで▲9六歩△9四歩と9筋の交換が入ったのですが、端を絡めて攻めたいと思っていましたので9筋の突き合いはありがたいと感じました。対して1筋は手抜いて△4二玉と居玉を避けて玉の安定を優先させたのですが、▲3六歩に△6四歩が問題でした。

△6四歩自体は先手の角を狭くして角を虐めていこうという意味なのですが流石に角を虐めるような手は間に合わなくて6三の地点に傷を作った罪が大きかったようです。

図3から

▲9五歩△7四銀▲9四歩△6五銀▲4五角△5四銀▲5六角△6五銀▲4五角△5四銀▲5六角△6五銀▲4五角△6二金(図4)

▲9五歩と先手から端を攻めてくる手がありました。これは後手が同歩と取ってしまうと角の利きを活かして▲9二歩が打てて香車を取られてしまいます。後手としては応じる訳にはいかないので△7四銀と引いて角道を遮断しますが、▲9四歩と取り込まれる展開は後手面白くありません。△6五銀と角をいじめにいくのですが6三の地点に隙があるので角を取り切ることが出来ず千日手模様になってしまいました。

後手番でしたので千日手でも仕方ないかとも思ったのですが、局面は若干後手よしなのではないかと思い△6二金と打開したのが図4です。

図4から

▲3五歩△4四歩▲1八角△3五歩▲3六歩打△同歩 ▲同角 △9七歩打(図5)

△6二金と6三の地点を守ったので次に△4四歩と突けば角が詰んでいます。なので先手は3五歩と角の退路を確保しますがそれでも△4四歩と角を狙って▲1八角と僻地に追いやることができました。また、△3五歩と取り込むことが出来たのも大きいです。

先手は▲3六歩と合わせて角を世に出しますが、△9七歩が大きな一手でここは後手が優勢です。

図5から

▲同香 △9八角打▲8八金△8七角成▲8五歩打△同飛 ▲8六歩打△同馬 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8四飛▲9三歩成△7六銀(図6)

▲9七同香と吊り上げて△9八角が狙いの一手でしたが、歩の連打で受ける手があってこれが見えていなかったのは痛かったです。

八角と仕掛けているので、引くわけにはいかないので攻めますが△7六銀と出た局面は角銀交換の駒損になってしまいました。

図6から

▲9六角打△9三香▲6三角左成(図7)

▲9六角は無理矢理8筋を受けた手ですが△9三香と走れば角取りです。ここで▲6三角左成が先手の勝負手で△同金▲同角成となった局面は後手玉が4一金打ちから危ない格好になっています。

図7から

△同金 ▲同角成△3一玉▲9三香成△5五角打(図8)

△3一玉と一回自玉に手を入れましたが、4一金打を警戒してだったのですが局面は詰めろになっていなかったのでこれは緩手だったようです。ただ、後手玉は3一玉と一手入れれば怖いところがなくなったのではっきりしてきました。△5五角の飛車金両取りが決めて級の一手です。

図8から

▲2五飛△8八角成▲5九玉△8七飛成▲4八玉△9三桂▲2六飛△8九馬▲2五香打△6七馬▲5三馬△4二金打▲6四馬△8八龍▲3七玉△3五銀打▲2三香成△同金 ▲同飛成△同馬 ▲2七金打△2五桂打▲2八玉△2六歩打▲1七金△8九飛打▲3九金打△2四香打▲3二歩打△同玉 ▲5四馬△2二玉▲2七歩打△1七桂成▲同香 △2七歩成▲1九玉△1八金打

図8からは自然に攻めていって上から押し潰す形で先手玉を詰ますことができました。

 


▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩 ▲同飛 △8六歩▲同歩 △同飛 ▲9八香(図1)

△8二飛▲8七歩打△2三歩打▲2八飛△7二銀▲3八銀(図2)

△8三銀▲2二角成△同銀 ▲8八銀△8四銀▲7七銀△8五銀▲5六角打△8四飛▲6八玉△3三銀▲9六歩△9四歩▲1六歩△4二玉
▲3六歩△6四歩(図3)

▲9五歩△7四銀▲9四歩△6五銀▲4五角△5四銀▲5六角△6五銀▲4五角△5四銀▲5六角△6五銀▲4五角△6二金(図4)

▲3五歩△4四歩▲1八角△3五歩▲3六歩打△同歩 ▲同角 △9七歩打(図5)
▲同香 △9八角打▲8八金△8七角成▲8五歩打△同飛 ▲8六歩打△同馬 ▲同銀 △同飛 ▲8七歩打△8四飛▲9三歩成△7六銀(図6)

▲9六角打△9三香▲6三角左成(図7)

△同金 ▲同角成△3一玉▲9三香成△5五角打(図8)

▲2五飛△8八角成▲5九玉△8七飛成▲4八玉△9三桂▲2六飛△8九馬▲2五香打△6七馬▲5三馬△4二金打▲6四馬△8八龍▲3七玉△3五銀打▲2三香成△同金 ▲同飛成△同馬 ▲2七金打△2五桂打▲2八玉△2六歩打▲1七金△8九飛打▲3九金打△2四香打▲3二歩打△同玉 ▲5四馬△2二玉▲2七歩打△1七桂成▲同香 △2七歩成▲1九玉△1八金打

 

▲角交換四間飛車(7八金型)対△居飛車 自戦記(30)

今回は久々に▲7八金型角交換四間飛車を相手にしました。この形は非常に有力な駒組みで一時期は後手番だけですが相手が居飛車の時に採用していたこともある形です。

玉形は美濃囲いなどでコンパクトに固く出来て尚且つ振り飛車側からの攻め筋も豊富なため相手にやられると厄介な戦法です。

 

初手から

▲7六歩△8四歩▲6八飛△3四歩▲4八玉△6二銀▲3八玉△4二玉▲2二角成(図1)

先手は角道オープンの四間飛車でした。こちらは後手番で2手目△8四歩と居飛車を宣言している格好なので普通に駒組みを進めますが△4二玉の瞬間に▲2二角成と角を交換するのが角交換四間飛車のよくある進行です。これは後手に△3二玉とされてからでは▲2二角成に対して△同玉の変化の余地を与えるので△同銀と取るしかないタイミングで角交換をして形を限定している意味です。個人的には△同玉とする将棋も決して居飛車が勝ちやすい将棋になるわけではないと思っていますが、振り飛車からしてもいろいろな形を想定して準備しなければいけないのであえて選ぶ変化ではないということなのではないかという認識です。一応後手に穴熊を選び辛くさせている意味もあるかと思います。

図1から

△同銀 ▲7八金△8五歩▲2八玉△3二玉▲3八銀△5二金右(図2)

△同銀に▲7八金とされたので7八金型角交換四間を先手が目指していることが確定しました。よくある形としては▲8八銀や▲8八飛として後手からの飛車先交換を受けておくような進行もあるのですが、▲7八金型の場合はこの7八金で8筋突破を受けて7七桂を急いでツノ銀のような形を作ってバランスよく指そうという狙いです。後手の陣形によっては6筋からバンバン駒をぶつけて捌くような展開や8筋の歩交換をされても8九飛車から8筋の逆襲を狙う手など豊富な攻め筋がある厄介な戦法です。

▲8八銀型や▲8八飛型の場合は逆棒銀の筋もあるので△8五歩は保留して指すことが多いのですが、この▲7八金型の場合はこのタイミングで△8五歩と突いて8筋で歩交換をして1歩手持ちにして指すのがいいのではないかと思っています。

先手としては8筋で歩交換されても将来▲8一飛と8筋に転換して逆襲する筋も狙っているところですので歩交換は受けずに▲2八玉と囲いに手をかけてきました。後手としても8筋の歩交換はいいタイミングで入れればいいので歩調を合わせて△3二玉と固めて2二の銀に玉で紐を付けて、いつでも△8六歩といけるようにしました。先手は▲3八銀と美濃囲いを一先ず完成させたのでいつでも強い戦いが出来ます。△5二金右とここでも歩調を合わせてこちらも金をくっつけ固めあったのが図2です。

先手は8筋の転換以外にも6筋から駒をぶつけて捌いてくる進行も考えられ△5八金右と一手入れておくのは6筋を補強している意味でも結構大事な一手になります。

本当なら後手は△6四歩〜△6三銀型を目指したいのですが、△6四歩と突いてしまうと▲6六歩とされて6五に争点が生じてしまい▲7七桂、▲6七銀〜▲5六銀と使われて▲6五歩からの6筋攻めも警戒しないといけなくなります。また△5四歩みたいな手も後手は指したいのですが5筋を突いてしまうと今度は将来の▲7一角と打ち込む筋を警戒しないといけなくなるのでこの歩突きをどちらも保留しているのは後手のささやかな工夫です。

 

図2から

▲1六歩△1四歩▲6九飛△7四歩▲6八銀

△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8四飛(図3)

▲1六歩は美濃囲いの避難口を開ける意味で価値の高い一手です。対して現状壁銀で右辺に逃げ込む形にならない後手は△1四歩と1筋の突き合いをするのはそんなに得になっていないのですが▲1五歩と1筋の位を取られてしまうと先手玉が非常に広くなってしまうので仕方なく突き合いました。

先手としては端歩も突いて玉の整備は十分となりましたのでそろそろ攻めの形を作ろうと▲6九飛と働きの悪い飛車に手をかけてきました。この飛車引きで8筋転換をする筋もそろそろきそうなので後手ものんびり構えていてはいけません。△7四歩と△7三桂と活用する手が指せるようにしました。▲6八銀と先手は着々と攻めの形を作る手を指してくるのですが、この7八金型角交換四間飛車という戦法は左辺の陣形を組み上げるのに手数がかかるという弱点があります。先手の理想的な駒組みは6六歩6七銀7七桂7八金6九飛(8九飛)といった形なのですが、そこまで組まれてしまうとなかなか居飛車から仕掛けて手を作るのは大変なのですが組み上げるまでに若干の隙が生じます。

後手としては先手の左辺の陣形が不安定なうちにポイントを上げられれば指しやすくなります。また後手は△8六歩から1歩入手しながら飛車先を軽くできる権利があってその歩をうまく攻めに使えれば局面をリードできます。

ここで△8六歩が満を侍しての一手でついにその権利を行使します。

なぜこのタイミングで飛車先の歩交換をするかということなのですが、▲6九飛と▲6八銀が入ると先手は将来的に7七桂と指さないといけなくなるという理屈があります。先手が7七桂と跳ねる形になれば桂頭という弱点ができるのでその時に1歩後手が持っていれば△7五歩▲同歩△7六歩という筋が生じるという理屈です。先手は7七桂と跳ねない形では8筋に転換することも出来ないですし6八銀としているので6筋から攻めることも出来ないこのタイミングがベストだという判断です。

△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩と飛車を追い返すのは自然な進行です。

ここで△8四飛と中段飛車に構えるのがこちらの研究手です。

若干不安定な飛車に見えるのですがこれは△7三桂と跳ねた際に桂頭を飛車で守っている意味と場合によっては3筋や2筋に転換して玉頭攻めをする狙いです。

図3から

▲9六歩△3五歩▲7七桂△7三桂▲8九飛△7五歩(図4)

▲9六歩はなかなかの一手です。先手の相手が知っていたのかはわかりませんが▲6六歩〜▲6七銀型を目指してきた時に後手から△9四角打という一見筋悪な攻めがあるのですが(自戦記15で指している筋です対角交換四間飛車 自戦記(15) - 厚み重視ブログ)これを防いでいる手です。この筋を事前に防がれてしまったので今回は玉のコビンを直接狙いに△3五歩と狙いにいきました。これは△3四歩の突き捨てから5五角狙いなので▲7七桂と△5五角と打った時に香車取りにならないように受けたのですが▲7七桂と跳ねると今度は桂頭が弱点となります。

一度7三桂と活用して▲8九飛に待望の△7五歩です。これに対して▲同歩は△7六歩の桂取りがあるので同歩とはできません。

図4から

▲8六歩△7六歩▲8五桂△6五桂(図5)

▲8六歩としてきましたが、△7六歩の取り込みが気持ちいいです。▲8五桂と先程の8六歩を活かして桂を逃げますが△6五桂の跳ね違いが絶品です。先手は8筋の逆襲を狙っていたのですが8五桂と8六歩が飛車先を塞いでいて非常に重たい格好ですし、後手は次に7七歩成という厳しい攻めが残っています。後手の飛車は四段目で横利きが通って威張っていて飛車の働きも違います。また先手は歩切れなのが泣きどころで細かい攻めも効かないという状況です。

△7五歩が実現して後手が優勢となりました。

図5から

▲6六角打△7四飛▲8七飛△6九角打(図6)

▲6六角打と飛車取りに当てながら7七の地点に利かしますが△7四飛があって後手十分です。ここで先手が歩切れでなければ7六歩と打てるのですがその歩がありません。▲8七飛と苦心の受けで耐えてきましたが流石にこれは辛い手です。

対局中はこの局面は後手がうまくさせているはずと思っていたのですがここでいい手があるはずと1分以上考慮して△6九角と打ちました。

この手も悪くはないのですが△8四歩と打って桂馬を取るような手の方が良かったみたいです。

図6から

▲7九銀△7七歩成▲同角 △同桂成▲同飛 △同飛成▲同金 △3六歩▲3五飛打△3三飛打(図7)

▲7九銀と金に紐をつけて受けてきましたが7七の地点の利きが減ったので△7七歩成から▲77同角△同桂▲同飛△同飛成▲同金と精算して桂馬と角の交換という大きな駒得を果たしました。ただ、6九の角が取り残されてしまっていて次に▲5九金とされると角が死んでしまいます。6九の角を助けたいので△3四歩と突いて▲同歩なら△5五角打が王手金取りになるので△3四歩としたのですが▲3五飛と歩の裏側から飛車を打たれてしまいました。

正直これは全然読みにない手だったので一瞬ヒヤッとしたのですが、△3三飛打と飛車には飛車という受けがあって問題なかったです(ここでは3七銀くらいでも大丈夫だったみたいです)

図7から

▲同飛成△同銀 ▲4六桂打△3七歩成▲同玉 △7六歩打▲7八金(図8)

▲3三同飛成△同銀となって壁銀解消できたので後手としてはこのやり取りでは得できました。先手はとにかく斜めのラインで攻められるのだけは嫌だと▲4六桂と守ってきましたので、一度△3七歩成を利かしました。これは何で取っても嫌だと思ったのですが▲同玉と応じられて手が見えなくなってしまいました。先手玉は結構しっかりしていますし後手は角を殺される手が残ってしまっているのでどうしたものかと思ったのですが、△7六歩として▲7八金と引かせて金と差し違える順を選びました。

ただ、ここで角と左辺で遊び気味の金を交換するしかないのであればやっぱり△6九角打と攻め込んだ手はイマイチな手だったみたいです。

図8から

△同角成▲同銀 △7九飛打▲8七銀△7七歩成▲8一飛打△3六歩打(図9)

△7八同角成▲同銀と角と金を差し違えましたが、駒割は桂と金の交換で依然後手の駒得です。△7九飛と打った手が銀取りで入るのも大きいです。▲8七銀と逃げますが、△7七歩成としてと金が出来れば後手大優勢のままです。

先手も受けてばかりではジリ貧なので▲8一飛打と攻め合いを目指してきますがこの手はなんでもないです。

△3六歩と玉の頭に歩を叩いたのですが、ここでは△3九金打という寄せの手があったみたいで対局中は全く見えていませんでした。▲同金なら△同飛成で龍が好位置にできてよかったみたいです。

対局中はとりあえず△3六歩の利かしはどう応じても具合が悪いでしょうとたいして考えずに叩いたのですが△3九金という手が優ったみたいです。

図9から

▲同玉 △8七と▲3四歩打△4四銀▲3七玉△7一歩打▲9一飛成(図10)

△3六歩の叩きに▲同玉と応じられましたがこれは玉が囲いから釣り出される格好なので流石に悪くはないと思ったのですが実際指されてみるとどう寄せたらいいのかさっぱりわからなくなってしまいました。

とりあえず△8七とで銀を拾って持ち駒を蓄えておきましたが、▲3四歩の叩きが入って△4四銀と躱しますが▲3七玉と引かれてやっぱり寄せが見えませんでした。

ここでもやはり△3九金打という筋があったのですがここに金を打って迫っていく筋はずっと見えませんでした。

寄せがさっぱり見えないので△7一歩と龍を遮断して万が一を無くしましたがこれは悪手判定を受けてしまいました。

ただ、局面自体は対策になっていますし先手は駒損が大きすぎて戦力不足なので▲9一龍と香車を拾ってきました。

図10から

△8六と▲9三龍△8五と▲9四龍△9九飛成▲8五龍(図11)

寄せの形が全く描けなかったのですが、桂馬が手持ちにあれば△4五桂の王手から攻めていってうるさいだろうと△8六とで歩を補充して歩切れを解消しながらそっぽの8五の桂を取りにいきました。筋は非常に悪いと思いますがスパッと決める手(△3九金打)が見えていないので仕方ないところです。△8五とまで入って桂馬が入手出来たのですが先手も攻め手に欠いていて▲9四龍と撤退してくれたので局面を冷静に見れば後手玉は全く寄るような形ではないのでゆっくり△9九龍と香車も補充しておきました。先手は指す手がないので▲8五龍と中段に龍を活用しながらと金を払いますが流石にこのと金を取るくらいの手しかないなら厳しいです。

図11から

△4五桂打▲2八玉△3五香打▲3三歩成△同桂 ▲3七歩打△2五桂▲5九香打△1五歩▲2六歩(図12)

△4五桂と打ててようやく寄せの形となりました。▲2八玉と落ちますが△3五香打として先手は歩で受けて守りたいと▲3三歩成と成捨てて△同桂▲3七歩と頑張りますが△2五桂と攻め駒を足していけば物量で押し潰せます。

▲5九香打と根性の頑張りで受けますが先手玉はもう寄形です。一回△1五歩と端にも味付けしましたがこれは微妙だったようです。

▲2六歩と桂取りで催促してきたのが図12です。

 

図12から

△3七桂左成▲同桂 △同桂成▲同銀 △同香成▲同玉 △4五桂打▲4八玉△3七角打(図13)

3七で全部精算して△4五桂と迫りましたが△4五桂に代えて△3六歩から即詰みがありました。△4五桂に同龍なら即詰みはなかったみたいです。

本譜は△4五桂に▲4八玉と逃げてくれたので即詰みがあったのですが△3七角と打って王手を継続しますが...
図13から

▲5八玉△5九角成▲同金 △同龍 ▲同玉 △5七桂成▲5八飛打△5六銀打▲2五桂打△5八成桂▲同玉 △5七金打(終局図)

▲5八玉に△5九角成としましたがここでは3手詰めを見逃していて△6九銀打として▲6八玉に△7八金打まででした。

対局中は△6九銀という王手が全然見えなくて△5九角成から▲同金△同龍▲同玉と玉を下段に落として5七桂成と詰めろで迫って▲5八飛打にも△5六銀と繋いで寄せました。

 

終盤で時間に追われているとはいえ、結構簡単な詰みを見逃してしまうというのは情けないですが概ね満足な一局となりました。

 


▲7六歩△8四歩▲6八飛△3四歩▲4八玉△6二銀▲3八玉△4二玉▲2二角成(図1)

△同銀 ▲7八金△8五歩▲2八玉△3二玉▲3八銀△5二金右(図2)

▲1六歩△1四歩▲6九飛△7四歩▲6八銀

△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8四飛(図3)

▲9六歩△3五歩▲7七桂△7三桂▲8九飛△7五歩(図4)

▲8六歩△7六歩▲8五桂△6五桂(図5)
▲6六角打△7四飛▲8七飛△6九角打(図6)

▲7九銀△7七歩成▲同角 △同桂成▲同飛 △同飛成▲同金 △3六歩▲3五飛打△3三飛打(図7)

▲同飛成△同銀 ▲4六桂打△3七歩成▲同玉 △7六歩打▲7八金(図8)

△同角成▲同銀 △7九飛打▲8七銀△7七歩成▲8一飛打△3六歩打(図9)

▲同玉 △8七と▲3四歩打△4四銀▲3七玉△7一歩打▲9一飛成(図10)

△8六と▲9三龍△8五と▲9四龍△9九飛成▲8五龍(図11)

△4五桂打▲2八玉△3五香打▲3三歩成△同桂 ▲3七歩打△2五桂▲5九香打△1五歩▲2六歩(図12)

△3七桂左成▲同桂 △同桂成▲同銀 △同香成▲同玉 △4五桂打▲4八玉△3七角打(図13)
▲5八玉△5九角成▲同金 △同龍 ▲同玉 △5七桂成▲5八飛打△5六銀打▲2五桂打△5八成桂▲同玉 △5七金打(終局図)

 

対ウキウキ飛車(目くらまし戦法) 自戦記(29)

今回は奇襲戦法の対ウキウキ飛車(目くらまし戦法)です。

この戦法はなぜ流行っているのか?よくわからないのですが相手にする機会もそこそこある戦法で作戦として優秀なわけでもないと思っているので、この戦法を採用してくる人には負けたくないと強く思っています。

 

初手から

▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3二金▲2五歩△8四飛(図1)

今回はこちらが先手番でしたので、▲7六歩からオープニングとなりました。後手は△8四歩から△8五歩と飛車先をズンズン突いてきましたので角換わりの出だしです。こちらは先手番では角換わりを目指していますので望むところなのですが▲2五歩に△8四飛で後手は目くらまし戦法です。この戦法は7六の歩を飛車で取って1歩得を目指してくるのですが、今回こちらが先手番でしたので3手目に▲2六歩が入っているので居飛車で応じます。これが後手番なら向かい飛車にして飛車先逆襲の作戦を選ぶのですがこちらが先手の時は▲2六歩としているのでいつも居飛車で応じています。

図1からすぐに△7四飛と7六の歩を狙いにくるような場合は▲7八金と一度7、8筋を補強して△7六飛と歩を掠め取ってくる手にはその瞬間に▲2四歩と飛車先の歩交換を挑んで、△同歩▲同飛△2三歩に▲8四飛としておくのが最初のポイントで次の▲8一飛成が受けにくく後手が不満な出だしとなるのですぐに△7四飛は成立しないとみています。

 

図1から

▲7八金△7二金(図2)

▲7八金は△7四飛に備えた手です。前述の通り△7四飛〜△7六飛の瞬間に▲2四歩の反撃をした時に8筋7筋を補強している意味です。

一例として、△7四飛には▲6八銀として△7六飛と歩を取られた瞬間に▲2四歩と飛車先の歩交換を挑んで△同歩▲同飛です。△2三歩打なら▲8四飛と8筋に転換した時に▲8一飛成があるので△2三歩と打てず△3四歩くらいですが▲同飛と応じてやはり次の8筋転換を目指されると後手の指し手が難しいです。なので後手としてもすぐの△7四飛は指せないので△7二金と8筋を守ります。これは同じように進んで▲8四飛とした時に△8二銀で受ける手を用意した意味です。

図2から

▲6六歩△1四歩▲6八銀△5二玉▲1六歩△1三角▲4八銀△5四飛▲6九玉△9四歩▲9六歩△6二銀(図3)

△7二金と備えられると先手としても▲2四歩から8筋の反撃は上手くいかないので▲6六歩として△7四飛と7六の歩を狙われた時に▲6七金と守れるようにしておきました。後手は△1四歩〜△1三角と端角で活用を目指してきますが先手としては5三の地点を2枚で守っておけば突破されることはないので大丈夫です。

後手は5筋に飛車を回って5三の地点を狙ってきますが角と飛車だけの攻めですし、歩越しの飛車なので金駒2枚を5三の地点に利かしておく形を作っておけば突破の心配もないので先手としては駒を盛り上げていって中段飛車を金駒でいじめていけば盤面の模様がどんどんよくなっていきます。△7二金とさせた交換で後手は固く玉を囲うことも出来ないので中住まいのバランス陣形で大駒交換をして打ち込む隙がないというくらいしか主張がないのですが先手としては大駒交換を避けて金銀を盛り上げていけばいいです。

またこの局面では1筋9筋の端歩はお互い突き合っていますが後手に端の位を取らせるのは飛車の可動域が広くなるので先手としては突き合いに応じておいて損のないところです。攻めが炸裂する筋さえ気をつけて駒組みを進めておけば局面が早く飽和するのは後手なのでじっくり指す方針です。

すでに図3では後手の駒組みは飽和状態となっていて有効な手はありません。

図3から

▲5八金△2二角▲3六歩△8四飛▲3七銀△3四歩▲2四歩△同歩 ▲同飛 △2三歩打▲2八飛△3三角▲6七銀△2二銀▲4六銀△2四角▲5六歩△7四歩▲5九角△7三銀▲4八角△6四銀(図4)

後手に有効手はありませんので、先手は自然に▲5八金と金を玉に近づけつつ活用します。後手は指す手がありませんので△2二角と引き上げて▲3六歩に△8四飛と手損ながら形を乱さないで待機しますが得な手ではありませんし後手から攻めるような手も皆無なのですでに先手の作戦勝ちです。

先手としては焦らずにじっくり攻め駒を押し上げていけばいいので▲3六歩〜▲3七銀と活用しました。棒銀の要領で攻められて2筋突破されては後手陣は崩壊してしまいますので△3四歩と突きますが、この瞬間飛車の横利きが遮られてしまうのが後手陣の悲しいところで、▲2四歩から1歩交換できます。

後手も攻め味を見せるために△7四歩〜△7三銀、△6四銀と銀を繰り出してきましたが、先手は雁木に組んで不満なしです。

図4から

▲6五歩△7三銀▲5五銀△8二飛▲6六銀引△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8二飛▲3七角△3三角▲5五歩(図5)

▲6五歩が気持ちのいい突き出しで銀取りに当てつつ角の利きが通って飛車取りにもなっていますので後手は△7三銀と出たばかりの銀を引き上げて飛車に紐をつけるしかありません。

ここでは単に▲8四角と飛車角交換しておく方が優ったみたいですが本譜は▲5五銀と出て中央に厚みを築いて押さえ込む方針で指しました。▲5五歩と5筋の位を取ってしまえば模様の良さが大差ですし中央の厚みが絶大で先手が指しやすいです。

図5から

△3五歩▲同歩 △3六歩打▲4六角△8四銀▲7九玉△7三金▲6八金右△8五銀▲2六飛△3七歩成▲同桂(図6)

△3五歩と8筋で交換した歩を使って角頭を攻めてきますが流石に無理攻めで、▲同歩△3六歩打と角取りにしてきますが▲4六角と逃げておいてなんでもないです。

△8四銀としてきますが、歩切れの後手は大した攻めはないので▲7九玉〜▲6八金寄と玉を固めておけば先手陣は盤石です。

▲2六飛車と浮いて3六歩を取ってしまえば右桂も使えますので後は全軍で攻めてしまえばいいです。

後手はタダで取られてしまうよりはと△3七歩成と成捨てますが手順に▲同桂と取って問題ありません。

図6から

△5四歩▲4五桂△4四角▲5四歩△4二金▲5五銀△同角 ▲同角 △4四銀打▲5三歩成△同金 ▲同桂成△同玉 ▲7一角打△6二飛(図7)

角を活用したい後手は△5四歩とすごいところの歩を突いてきましたが、自玉の玉頭なので反動がキツすぎです。▲4五桂がピッタリの気持ち良すぎる桂跳ねで△4四角と逃げますが▲5四歩と取り込んで先手が十分すぎます。

次の5三歩成が厳しすぎるので△4二金と補強しますが▲5五銀と出ておけば後手の角は死んでいます。△5五同角と銀と刺しちがえますが▲同角としてこれがまた銀取りです。△4四銀と必死の受けですが角を持てば▲7一角打の筋が生じて先手が勝勢です。

図7から

▲同角成△同玉 ▲4二飛打△5二歩打▲4四角△同歩 ▲2二飛成△5五桂打▲2三飛成△6七桂成▲5二龍△同玉 ▲5三銀打△6一玉▲6二金打

後はボロボロと駒を取って物量で押していけば自玉も鉄壁なので大差で勝つことが出来ました。

本局はウキウキ飛車という奇策に対して自然な駒組みで対応して勝てたのでよかったです。

うっかり変な手を指してしまうとバランス型の駒組みなので悔しい負けを喰らうこともある戦法ではあるのですが、こちらがしっかり指せれば必ず良くなる将棋なので今後も負けないようにしたいと思います。

 

 

▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3二金▲2五歩△8四飛(図1)

▲7八金△7二金(図2)

▲6六歩△1四歩▲6八銀△5二玉▲1六歩△1三角▲4八銀△5四飛▲6九玉△9四歩▲9六歩△6二銀(図3)

▲5八金△2二角▲3六歩△8四飛▲3七銀△3四歩▲2四歩△同歩 ▲同飛 △2三歩打▲2八飛△3三角▲6七銀△2二銀▲4六銀△2四角▲5六歩△7四歩▲5九角△7三銀▲4八角△6四銀(図4)

▲6五歩△7三銀▲5五銀△8二飛▲6六銀引△8六歩▲同歩 △同飛 ▲8七歩打△8二飛▲3七角△3三角▲5五歩(図5)

△3五歩▲同歩 △3六歩打▲4六角△8四銀▲7九玉△7三金▲6八金右△8五銀▲2六飛△3七歩成▲同桂(図6)

△5四歩▲4五桂△4四角▲5四歩△4二金▲5五銀△同角 ▲同角 △4四銀打▲5三歩成△同金 ▲同桂成△同玉 ▲7一角打△6二飛(図7)
▲同角成△同玉 ▲4二飛打△5二歩打▲4四角△同歩 ▲2二飛成△5五桂打▲2三飛成△6七桂成▲5二龍△同玉 ▲5三銀打△6一玉▲6二金打△詰み